研究概要 |
本年度は、口腔感染症(歯周病およびう蝕をターゲットとした)の制御に有用なヒト型モノクローナル抗体の作製を行った。 1.P.gingivalisの赤血球凝集因子に対するヒト型抗体の作製:すでにクローニングを行い諸性質について解明した130 kDa hemagglutinin domain;130k-HMGDを大腸菌に発現させ、プレパラティブ電気泳動ゲルによって高度に精製した組換え標品を得た。これをヒト型抗体遺伝子トランスジェニックマウスに免疫(2週間)し、脾臓を採取し、ミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を作製した。ELISAにより一次スクリーニングを行い、続けて、limited dilution法によって単一クローンを分離した。ELISAおよびWestern-blot解析により、抗原を認識するクローン19個を選択し、Low IgGウシ胎児血清を含む培養液にて培養を行った。これらのクローンは全て、P.gingivalis hemgglutinin domain認識抗体に特徴的な43,49 kDaバンドを認識していた。さらに、P.gingivalis vesicleの赤血球凝集活性の抑制実験を行った結旺、本活性を強く抑制する1クローンを得ることに成功した。このヒト型抗体は、P.gingivalis感染の歯周病制御に有用であると考えられる。 2.Mutans Streptococciグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)を抑制するヒト型抗体の作製:本菌には不溶性グルカンを産生するGTF-Iおよび、水溶性グルカンを産生する数種のGTF(GTF-3S,GTF-S6,GTF-4S))の存在が知られていることから、ヒト型抗体作製のために本菌の膜画分を抗原としてトランスジェニックマウスに免疫を行った。1.の実験と同様の手順でハイブリドーマを作製した結旺、抗原標品である膜画分を認識する30クローンを得ることに成功している。現在、GTF活性阻害するクローンの選定を行っている。
|