研究課題/領域番号 |
13358001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大築 立志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093553)
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研究分担者 |
品川 嘉久 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 講師 (00226135)
上田 穣 会津大学, コンピューター理工学部, 講師 (10254062)
工藤 和俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30302813)
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キーワード | 時系列的筋活動 / 筋電図 / 動作分析 / 3次元画像解析 / interactionトルク / muscleトルク |
研究概要 |
本研究は、身体運動に必要な種々の情報をできるだけ現実に近い形で視覚的・運動感覚的に呈示することによって、運動能力をテストし、同時に運動学習を促進する方法を開発することを目的とする3年計画の研究である。初年度である本年度は、研究計画書に記載のとおり、スポーツの基本動作の計測を行った。 右利き被験者に8m先の的を狙って軟式野球ボールを全力で投げさせ、動作を今回の研究費で購入した高速度ビデオ画像解析装置によって分析した。また、右の前腕、上腕、上肢帯、及び体幹の17筋から表面筋電図を記録した結果、以下の知見が明かとなった。 (1) 肩甲前突筋から肩関節水平屈曲筋へ、肩関節水平屈曲筋から肘関節伸展筋へという近位から遠位へ向かう時系列的筋活動が観察された。しかしながら、肘関節伸展筋から手首の屈曲筋あるいは前腕の回内筋への時系列筋活動は見られなかった。(2) 投球腕の対側の外腹斜筋は同側の外腹斜筋に先行して活動を開始した。この時系列は、体幹において産生される力とエネルギーを高めるために有効であると考えられる。(3) 同側の外腹斜筋は踏出し足の着地に同期して活動を開始した。(4) 腹直筋はボールリリース直前に強く活動した。この活動は、体幹を前屈させることによって手先の回転速度を増大させる働きをすると考えられる。(5) 3次元画像解析から逆動力学によって各関節のトルクを算出した結果、手関節では球速によらずinteractionトルクとmuscleトルクは拮抗する方向に作用していた。この機構は、手関節の速度を一定に保つことによって指によるボール操作(回転・コース)の自由度を増大させる機能的意味を有するものと考えられる。一方、肘関節においては両トルクは常に同方向に作用し、球速の調節に関与することが明かとなった。
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