研究分担者 |
北村 泰彦 大阪市立大学, 大学院・工学研究所, 助教授 (00204917)
岩沼 宏治 山梨大学, 工学部, 助教授 (30176557)
井上 克巳 神戸大学, 工学部, 助教授 (10252321)
尾崎 暢 富士通研究所, 主管研究員
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (20273873)
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研究概要 |
インターネットの普及にともない,ネットワークを用いた新規・既存ソフトウェアの統合や異種データベースの同時使用などによる新しい分散協調問題解決手法が多く研究されているが,そのような手法の研究において,通信遅延や計算機故障などによる情報の不完全性に関する処理は,ほとんど考慮されていない.また,たとえ通信が完全に保証されていたとしても,現在では,計算機処理速度に比べて通信速度が格段に遅いため,他エージェントからの情報を受信してから次の処理を行うのでは,計算機の処理能力を十分に引き出せない. 本研究の目的は,以下の3点である. ・平成11年度および12年度に研究を行った不完全通信に対処するエージェントモデルの機能を拡張し,すべてのエージェントが,効果VS費用のトレードオフを見積もりつつ先行投機的処理を行うようにできる手法を開発する. ・企業で実際に使われているエージェントシステムを参考にして,上記の拡張エージェントモデルを実装し,高度で大規模な分散協調問題解決が可能なシステムを構築する. ・企業側の研究者から供給される実在する大規模問題を解くことにより,本システムの有効性を検証する. 今年度は,上記のうち,すべてのエージェントが先行投機的処理を行いつつ分散協調問題解決ができる手法の検討を行った.具体的には,各エージェントは,あらかじめ他エージェントへの質問に対するデフォルトの信念を蓄えておき,現在の信念に矛盾しない仮定を使うプロセスに関してのみ処理を行い,信念に矛盾する仮定を使おうとしたときには,そのプロセスを中断させる.そして,他エージェントからの回答が来た場合には,信念を更新し,新しい信念に矛盾しない仮定を使っているプロセスに関して新たに処理を行うという繰り返しで実行を行う.このような実行方式に対して,論理プログラミングの完全モデルを用いた意味論を与え,提案手法の健全性を証明した.
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