研究分担者 |
山田 文彦 熊本大学, 工学部, 助教授 (60264280)
原田 浩幸 熊本大学, 工学部, 助教授 (20222234)
古川 憲治 熊本大学, 工学部, 教授 (60029296)
田中 健路 熊本大学, 工学部, 助手 (30315288)
柿木 哲哉 神戸市立工業高等専門学校, 都市工学科, 講師 (50353298)
|
研究概要 |
1.台風に伴う高潮問題に対して、高潮と波と潮汐とを同時に考慮した数値計算手法の開発および精度の向上を行い、これを基に有明・八代海域における想定最大被害を対象として、モデル台風の選定とともに計算を実行し、最大水位、最大波高の分布を調べ、ハザードマップの資料を得た。熊本県の行政に対し、想定最大高潮を対象とした、新しい高潮減災対策の基本方針を指導し政策に反映させた。 2.有明不知火海の高潮ハザードマップ作成に向けて、局地気象モデル(PSU/NCAR MM5)を用いた海上風の推算を行った。1999年の1年間にわたる計算を行い観測値と比較した結果、モデルは観測風をよく再現することがわかった。また、モデルにより地形の影響を考慮した海上風を計算することが示され、モデルで計算された海上風速を用いれば高精度な高潮予測が可能であることが示唆された。また、高潮の数値シミュレーションや強風作用下での沿岸域での吹送流と波浪流による流れを対象とするときにも,風・波浪・吹送流の相互作用が重要となる。特に,浅水変形を受けて波形勾配が増大してくると,風から波浪へのエネルギー伝達率も増大し,波浪の砕波調節機構が変化して,白波砕波率が増大する。これにより,波浪⇒広域海浜流へのエネルギー輸送率が上昇し,沿岸域での吹送流の発達が強化される。本研究では,広域海浜流や有明海のような極浅海域での高潮の数値モデルに焦点を絞り,沿岸海洋における風による海水流動のモデルを示した。 3.熊本県白川河口域干潟の地形変動特性を把握することを目的とし,現地観測と数値シミュレーションを行った.その結果,白川河口域の干潟は,冬季に侵食、夏季に堆積傾向にあり、6月から10月にかけて40cm程度堆積する傾向にあることが現地観測により明らかになった。また、干潟における底泥の巻き上げ・沈降,底泥の輸送およびこれによる干潟地形変化の数値モデルを開発し,干潟地形変化のメカニズムを明らかにした.また、内湾河口域の干潟上で約2年間に渡って地盤高の岸沖分布を計測した。干潟断面ではバー地形が顕著に表れないので,その岸沖分布を2次多項式で近似し,時間変動項を分離するデータ解析手法を提案した.さらに時間変動を考慮した3つの地形パラメータ(凹凸度・平均勾配・鉛直変位)を定義し,外力の時系列と直接比較することで干潟地形変化の要因分析を行なった.その結果,鉛直変位パラメータは年周期の変動を行なっており、平均潮位と正の相関性が高いことがわかった. 4.干潟の浄化能力を脱窒の観点から検討し、採取した底泥サンプルの脱窒活性の測定、MPN法による脱窒菌の計数を行い、実際の干潟での脱窒能の推定と影響因子の特定を行った。さらに今回、水質、特にこれまで精度の高い分析手法で測定されていなかったクロロフィル-a濃度を数百ng/Lレベルまで測定できる分光蛍光光度法で測定し、これを将来に向けての水質予測とするためデータの集積を図った。同時に採取した海水について微粒子や細菌、プランクトンの分布に関するデータを集積した。
|