研究課題/領域番号 |
13358013
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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研究分担者 |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
講内 毅 浜松ホトニクス, システム事業部, 研究開発員
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キーワード | フラビン蛋白 / 自家蛍光 / 脳機能イメージング / 連合学習 / マウス / 聴覚野 / 体性感覚野 / 視覚野 |
研究概要 |
今年度はフラビン蛋白蛍光法をマウス大脳活動の光学的な記録に応用した。マウスの頭蓋骨は透明度が高く、麻酔したマウスで頭蓋骨の乾燥を防止すればフラビン蛋白蛍光イメージングが経頭蓋的に容易に行える。しかしこのままでは大脳皮質の長期的な観察や無麻酔状態での光学的記録が出来ない。そこで我々は頭蓋骨を内側の緻密な部分を残して薄く削り、削った部分を透明な歯科用レジンで置換し、さらにその上に透明なマニキュアを塗って補強・保護する術式を考案した。この方法のメリットは、そもそも開頭しないので脳に与える外科的侵襲や感染の危険が殆どないという点にある。また手術自体も簡単で、麻酔開始後約50分で終了し、手術を受けたマウスは術後2-3時間でエサや水を摂取するなど活発に動き始める。光学的な記録法は脳の動きを嫌うという特性を持つ。しかし金属片を歯科用レジンで頭蓋骨に接着し、この金属片をネジで固定すれば、無麻酔でも脳の動きを簡単に阻止出来る。これらの特徴を生かし、覚醒マウス大脳活動を透明化した頭蓋を介して光学的に記録することに成功した。覚醒マウスに対し、皮膚刺激・光刺激・音刺激などを行うと、それぞれの担当感覚野は反応を示した。しかし、反応の振幅が小さく、何度も刺激を繰り返すと急速に応じにくくなる現象(慣れ)が著明であった。我々はこの慣れを防ぐため、刺激の種類を試行毎に変えて新奇性を持たせる、あるいは本来はニュートラルな感覚刺激と嫌な刺激(顔面への空気吹き付け)を連合させることを行った。これらの操作により連合野を含む大脳皮質の刺激に対する反応が著明に増強された。このうち連合による大脳活動変化は単純な学習の脳内過程を直接可視化したものと解釈できる。フラビン蛋白蛍光法による覚醒マウス大脳活動の解析はまだ始まったばかりだが、非常に強力かつ応用性に富む手法と思われる。
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