研究課題/領域番号 |
13358014
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
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研究分担者 |
木本 安彦 田辺製薬(株), 創薬研究所, 所長
木村 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00110560)
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
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キーワード | ES細胞 / GFP / 核移植 / 遺伝子改変 |
研究概要 |
前年作製したGFP発現カニクイザルES細胞(GFP-ES)の多分化能をSCIDマウスへの移植により確認した。その結果移植したGFP-ES細胞はGFP蛍光を発するテラトーマを形成し、その組織切片から3胚葉に分化したテラトーマであることが分かった。すなわちこのGFP-ES細胞は多分化能を維持していることが明らかとなった。さらにGFP-ES細胞をカニクイザル4〜6細胞期の正常発生胚に注入したところ、割球と混じり合って増殖し、キメラ胚盤胞を作る能力があることも分かった。このキメラ胚盤胞においてGFP-ES細胞由来の細胞はGFP蛍光を発し、容易に判別することが可能であった。以上の結果から我々が作製したGFP-ES細胞は多分化能を維持し、分化後もGFP蛍光を発するため、細胞移植実験に非常に有用であることが分かった。さらにこのGFP-ES細胞を用いたキメラ胚を仮親の卵管に移植し、遺伝子改変ザルの作出を試みたが妊娠には至らなかった。 一方で再生医学、細胞移植医療において大きな問題である拒絶反応を回避するため、カニクイザル羊膜細胞を用いて核移植を行い、拒絶反応寛容ES細胞樹立の試みも行った。羊膜細胞は免疫学的に幼弱であり、急性拒絶反応の原因となるMHCクラスIIの発現が無いため、この核を使用して樹立されるES細胞もMHCクラスIIを発現しない可能性があるからである。核移植の結果、非常に良好な胚盤胞を得ることができた。これは霊長類で世界初の体細胞クローン胚盤胞の作出となった。現在この胚盤胞を用いてES細胞の樹立を試みている。羊膜細胞核由来のES細胞が樹立できればそのMHCクラスIIの発現の有無を明らかにする予定である。
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