研究分担者 |
野田 恵一 (株)日本アイピーアイ, 主任研究員
溝上 員章 (株)日本アイピーアイ, 代表取締役社長
蓮見 啓二 日立東京エレクトロニクス(株), 日立中研分室, 分室長
下門 顕太郎 東京医科歯科大学, 大学院・血流制御内科, 教授 (30192115)
岡野 嘉昭 京都大学, 大学院・臨床病態検査学, 助手 (80314186)
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研究概要 |
本年度は以下の項目について研究計画を実施した. (1)高感度質量分析のための分析システムの開発: 生体内代謝情報を得るには試料を微量または非侵襲的に採取し,分析できることが望ましい.そこで,超微量試料でも分析可能な昇温脱離ガス発生装置をさらに改良し,nLの試料でも分析可能な仕様にした(特許出願).さらに生体微量ガス交換解析のため,高感度質量分析にも対応した高感度分析システムを開発した.これにより,生体をチャンバー内に置いた状態のままで,生体微量ガスのモニターが可能になった.さらに生体表面(皮膚等)から発生するガスを高感度で検出するシステムを開発し,皮膚ガスを超高感度で分析可能になった.呼気と皮膚ガスにはそれぞれ特有成分があるものの,大部分の成分がほぼ共通して存在することを明らかにした. (2)肺運動負荷試験における嫌気性代謝閾値の探索: 心肺予備能力の指標のうち最大運動負荷に伴う無酸素閾値(AT)は,有酸素運動から無酸素運動への移行時に嫌気性代謝産物として乳酸が上昇しはじめる閾値を示す.本研究では超高感度の大気圧イオン化質量分析装置(APIMS)への運動負荷時呼気ガス導入を目的としたハイパークリーン呼吸回路システムを開発し,運動負荷試験に応用したところ,呼気中への乳酸排泄は検出されなかったが,運動強度の増大に伴い増加する質量数を多数見い出した.このため心肺運動負荷試験における嫌気性代謝に関連した呼気ガス微量低分子化合物の同定を現在試みつつあり,呼気ガスによる新しいATの推定方法の開発を継続中である.
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