研究課題/領域番号 |
13359001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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研究分担者 |
金田 英宏 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究科, 助手 (30301724)
村上 浩 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究科, 教授 (40135299)
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90179812)
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キーワード | 大型冷却望遠鏡 / カーボンファイバー / 軽量鏡 / 衛星搭載機器 / スペース観測 / 低温物性 |
研究概要 |
本年度はまず本研究の目的とする大型冷却望遠鏡の鏡材の検討を行い、溶融石英、ベリリウム、また新しい素材であるシリコンカーバイド、さらにはC/C-SiCなどについて、軽量化の検討の他、大型化の可能性、低温での特性などを中心に得失を検討した。この結果、カーボンファイバー(以下CFRP)が、軽量化・大型化の点から大きなメリットがあることを確認し、CFRP鏡を目標として、低温の物性、鏡面化の方法などについて評価することとした。そこで本年度は、表面粗度と低温物性に絞り、データを取得した。(1)まず異なった2種類のプリプレグ材料を用いたCFRPを製作し、表面粗度を中心に比較した。この結果、プリプレグにより表面粗度は30nmから200nmまで変わることがわかり、プリプレグの選定が重要な因子であることを確認した。(2) 離型材の塗布方法も検討し、6回以上の塗布を行えば、粗度には影響がないことがわかった。(3) モールドの材料についても、石英、ガラス、ステンレスの3種類のもので実験したが、CFRP材の粗度の効果が大きく、モールド材の差ははっきりわからなかった。しかし、熱膨張係数の差等が影響を与える可能性もあり、モールド材の選定にはさらに検討が必要である。(4) 樹脂コートにより面粗度を改善することも試みた。1mmスケールのうねりをとるには効果があり、粗度は20nm以下まで改善したが、依然100ミクロン以下の粗度は改善できていない。コート樹脂の選定についてさらに検討が必要である。(5) 金コート、無電解ニッケルコートの試験を行い、問題なくコートができることを確認した。(6)極低温での熱伝導度、熱収縮率の測定を行い、予想とほぼ合致したデータが得られた。以上の結果、面粗度は、赤外線帯で使用するにはさらに改良が必要であることを確認し、(1) プリプレグの改善、(2) コートを利用した転写方法の改良などを次年度に検討する。また次年度は球面鏡を試作し、曲面の製作性も検討する予定である。
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