研究分担者 |
市川 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20223084)
置田 雅昭 天理大学, 文学部, 教授 (50248176)
名取 四郎 立教大学, 文学部, 教授 (00113259)
桑原 久男 天理大学, 文学部, 助教授 (00234633)
杉本 智俊 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (80338243)
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研究概要 |
(1)ガリラヤ湖東岸エン・ゲヴ遺跡の発掘調査 調査目的:今年度の調査の主な目的は次の3点であった。 (1)ケースメイト式城壁の東北角を確認し,鉄器時代の都市の規模を確認すること (2)下層の列柱式建造物の概要を確認すること (3)ヘレニズム時代の複合建造物の北端を確認すること 調査期間:7月27日〜8月23日 調査成果:発掘調査自体はテル・アヴィヴ大学からの協力もあり,概ね順調に実施された。目的の(1)に関しては,城壁自体がテルの北側の公道の下に続いているために,東北の角こそ検出できなかったが,東北の角に接し築かれたと推定される複数の部屋が検出し,城壁に関する限り,この都市が北イスラエルの離宮のおかれたテル・エズレエルとの類似性を示していることが判明した。なお,本年度の成果の一端は第11回「西アジア考古学発掘調査報告会」(2004年3月6日〜7日,於国士舘大学)で研究協力者山内紀嗣により報告された。 (2)ヘレニズム〜ビザンティン時代の都市遺跡の調査研究 本年度は2つの踏査を実施した。ひとつは研究分担者名取四郎他1名によるヨルダン・シリアの教会遺跡の調査研究(2003年8月4日〜23日),もう一つは研究分担者佐藤研他1名によるトルコ・ギリシアの初期キリスト教遺跡調査研究(2003年10月27日〜11月4日)である。 (3)聖書考古学研究会の開催 本年度は6月22日に名古屋大学においてエン・ゲヴ遺跡出土資料の検討を行い,12月20日に八王子市北野南部会館にてイスラエル鉄器時代の墓制の共同研究会を開催した。後者の成果の一端は「アナトリア考古学国際コロキアム」(2004年3月14-15日,於中近東文化センター)で研究協力者宮崎修二により発表された。 (4)デカポリス研究会の開催 ガリラヤ湖周辺からトランス・ヨルダン地域にはデカポリスと呼ばれるヘレニズム都市群が存在していた。これまでのヘレニズム都市の調査資料を踏まえながら,本年度は2003年7月12日、11月22日、2004年3月12日と3回の研究会を行い,デカポリス都市の宗教文化に関する知見を深めた。その成果の一端は名取四郎の論文に発表された。 (5)エン・ゲヴ遺跡の発掘調査の報告に向けた資料検討 エン・ゲヴ遺跡発掘調査の最終報告書の作成に向けて,随時,検討を重ねた。とくに第1次〜第3次発掘調査の成果に関しては,まずはPreliminary Reportとして国際的学術雑誌TEL AVIVに調査報告を発表すべく,準備を進めた。本報告は明年度中には刊行される予定である。
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