研究課題/領域番号 |
13371002
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
肥田 路美 早稲田大学, 文学部, 助教授 (00318718)
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研究分担者 |
村松 哲文 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (30339725)
金子 典正 早稲田大学, 文学部, 講師
河合 隆史 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 助教授 (90308221)
高橋 宗一 東京音楽大学, 講師 (60338837)
山田 磯夫 横浜美術短期大学, 助教授 (20310443)
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キーワード | 国際共同調査 / 四川省 / 仏教美術 / デジタルアーカイヴ / 三次元画像 / 石窟考古 |
研究概要 |
現地調査は、昨年度の調査エリアである蒲江県の北に接したキョウライ市において、三次にわたって行った。4月と7月に中国側共同研究機関(四川大学・成都市文物考古研究所)のみで遺跡の位置および編号の確認作業を行い、8月24日〜9月14日に日中共同で本調査を実施、日本側参加者は14名(研究協力者を含む)、中国側は7名であった。唐代の造像である石筍山・花置寺・鶴林寺・盤陀寺・天宮寺の五箇所を対象に、撮影・拓本・調書作成・法量計測・実測図作成・3Dデジタル撮影を行い、これによってキョウライ市内の全摩崖窟龕の調査を完了した。二年間の悉皆調査を通して、四川盆地中西部に位置するかつての臨キョウ地域における石窟摩崖計23箇所、合計597箇龕のデータを得たことになる。中国の摩崖造像では初めての導入である光遮断式レンジファインダーによる30デジタル撮影は、昨年度よりも試行例を増やし立地・規模・岩の材質・壁面構成・法量・主題内容などに応じて、計測精度や計測範囲をどのように決定するかについて検討を重ねた。また、3Dデータの取得件数が増えたことで、従来にないこの種の資料を美術史的研究にどう活用するかについても、触地印如来像という具体的テーマを設定しつつ模索した。 石窟摩崖は原所在地を動かないため、地域の造像活動の全体像を捉えるには最適の材料である。全数調査を通して新たに浮上してきた美術史課題は少なくないことから、取得データをいかに有用なアーカイヴとして公開していくかが重要な課題である。今年度はデジタルアーカイヴの基本設計を行い、入力作業を開始した。冊子体と比較して活用の方向性がどう異なるかを検討し、現地調査で取得したすべてのデータを盛り込むことを基本方針とし、ユーザーの必要性に応じてデータに複数の階層を設け、上位階層では専門的研究者の利用を想定して有効で効率的な検索を可能とすることを目指している。
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