研究課題/領域番号 |
13371007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
ABINALES P・N 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60314267)
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研究分担者 |
田中 耕司 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10026619)
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (80093334)
立本 成文 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (50027588)
長津 一史 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助手 (20324676)
白石 隆 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (40092241)
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キーワード | ウォーラセア海域 / 生活世界 / 人口移動 / 商業性 / ネットワーク / 境界管理 |
研究概要 |
今年度は研究分担者9名と海外共同研究者2名が、交付申請書の目的に従い海外で合同広域調査と個別調査をおこなった。 合同調査:研究代表者のアビナウレス、分担者の立本、田中、海外共同研究者のアレックスらが、スラウェシ島沿岸部において、人と商品の移動に関する概括調査をおこなった。同時にハサヌディン大学(マカッサル)とサムラトラギ大学(マナド)において、本研究の概要を報告した。 個別調査:各メンバーは本研究の3つの軸、(1)海域住民の生活世界、(2)海域ネットワーク、(3)前二者を支配・管理する政治制度に関する臨地調査をおこなった。(1)については立本(スラウェシ南部)、長津(スラウェシ南・北部)、川田とマカリオ(ビサヤ海域)が、人口移動に起因する社会生活の再編に焦点をおいて、(2)については田中(スラウェシ沿岸)、山田(ボルネオ東・西岸)、田和(マレー半島西岸)が、森林・海洋資源利用とその流通ネットワークに焦点をおいて、(3)についてはアビナウレス(フィリピン)、白石(インドネシア)、濱下(香港等)が、出入国管理・税関制度の形成に焦点をおいて、それぞれ調査を実施した。 ウォーラセア海域においては、20世紀初頭に国境が画定されて以来、植民地期、独立国家期のいくつかの局面で、海の管理制度が整備されていった。しかしそうした局面においても同海域の住民は、商業志向の強い人口移動を活性化させ、海域ネットワークを再構築していった。海域住民は管理制度を逆手にとり、国家間の様々な差異を商業的に利用することを試みたからである。本年度の成果は、特にマカッサル海峡圏とスルー・セレベス海圏における調査により、こうした歴史過程のアウトラインを描けたことである。そのアウトラインを具体的な事例によって肉付けするため、次年度以降各メンバーは、特定の村、ネットワーク、政治制度に焦点をおいて調査を進める予定である。
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