研究課題/領域番号 |
13371009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉島 敬志 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (80196724)
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研究分担者 |
中川 敏 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (60175487)
阿部 健一 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (80222644)
中村 潔 新潟大学, 人文学部, 教授 (60217841)
水野 廣祐 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30283659)
鏡味 治也 金沢大学, 文学部, 助教授 (20224339)
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キーワード | 地方自治 / 文化 / アダットの活性化 / 自生的主民組織 / NGO活動の活発化 / 民間活力 / 行政単位の細分化 / 地方主義 / agencyの多様化 |
研究概要 |
研究代表者と研究分担者の9名全員が2002年6月から2003年3月にかけての時期にインドネシアの地方社会で数週間から4ヶ月間のフィールドワークをおこなった。今年度の調査をとおして明らかになうたことの要点をかいつまんで以下にのべる。ほぼ全ての調査地域において伝統文化/アダット(慣習法)にもとづく発言が力をえていることは今年度の調査においても確認され、地方行政府はかつてないほど伝統文化/アダットに関心をむけるようになり、それを地方自治や地方行政に生かすために、地方行政府がデータの収集をはじめた地域も存在する。また、伝統文化/アダットを地方自治と関連づけ、それに寄与するものとして捉えるナラティヴが地方社会の住民のあいだに広がりつつある事態もいくつかの地域で確かめられた。しかし、現在のインドネシア地方社会の現状はこうした現象によってのみ特徴づけられるわけではない。すなわち、自生的な住民組織の伸張、国内外のNGOの活動の活発化、地方マスメディアの発言力の増大、行政単位の細分化、末端に近い行政単位の役割強化といったagencyの多様化もまた、現在のインドネシア地方社会をとらえるうえで重視すべき現象になっている。これらの現象が民間活力をひきだす方向で作用する可能性はあり、その萌芽はいくつかの地域で観察された。だが、それと少なくとも同程度の確率で、偏狭な地方主義や生みだされたり、齟齬する政策や活動によって各種の混乱や不都合が生ずる可能性があり、実際にいくつかの地域ではすでにこの種の問題がおこっていた。今年度の調査ではこうしたagencyの多様化とそれに随伴するさまざまな現象についても具体的なデータを蓄積することができた。
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