研究課題/領域番号 |
13371010
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
山本 紀夫 国立民族学博物館, 民族学開発センター, 教授 (90111088)
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研究分担者 |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
稲村 哲也 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00203208)
本江 昭夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30091549)
苅谷 愛彦 千葉大学, 理学部, 助手 (70323433)
岡 秀一 東京都立大学, 理学部, 助教授 (50106605)
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キーワード | アンデス高地 / 環境利用 / 栽培植物 / 家畜飼育 / 農耕限界 / 埋没土壌 / DNA / ドメスティケーション |
研究概要 |
本年度は4年計画の初年度であり、次年度以降の調査地探しも兼ねてネパール東部での予備調査のほかに広域調査を行った。広域調査は3回にわけて、エクアドル高地、ペルー北部高地、ペルー南部高地およびボリビア北部高地の3地域で実施した。実際の調査に際しては、本研究の最大の特徴である自然科学と人文科学との横断的な研究を目指すため、文化人類学者と自然科学(自然地理学、植物学、畜産学、霊長類学)者が一緒に行動し、研究者同士が問題を共有し、相互理解をはかった。これらの調査で得られた新たな知見の主なものは以下のとおりである。(1)エクアドル・アンデスとペルー・アンデスでの農耕限界を比較すると後者の方が1000メートル以上も高く、これに家畜飼育も含めると後者は高度域で約2000メートルも生活領域が広い。(2)その要因としては、両地域における栽培植物や家畜の種類の違い、農耕方法の違いなどが考えられるが、これらの点を明らかにするために今後のインテンシブな調査が待たれる。(3)エクアドル高地における農耕や牧畜などの環境利用の方法には同地域における火山活動も大きな影響を与えている可能性が大であり、この点に関しては埋没土壌の調査を行う予定である。(4)ペルー南部からボリビア北部にかけてのティティカカ湖畔に分布が限定されると考えられていた特異な農耕法のレイズドフィールド(盛り土農法)はエクアドル高地にも分布していた可能性が大であり、これはアンデス高地の環境利用の方法を考える上で大きな示唆を与える。(5)アンデス高地に特異的なラクダ科家畜のリャマとアルパカは予想以上に交雑が進んでおり、この点についてはDNAレベルで分析を進めつつある。(6)絶滅が危慎されていた野生のラクダ科動物のビクーニャは国家的な保護のもとで増加し、その利用方法の調査はアンデス高地におけるラクダ科動物のドメスティケーションのプロセスを明らかにする上で大きな示唆を与えるものとなる。
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