研究課題
基盤研究(A)
本研究は、このようなアンデス高地における人間社会と環境との相互関係を自然科学的な手法も取り入れながら文化人類学的に明らかにしようとしたものである。この目的のため、当初計画ではヒマラヤおよびチベットとの比較調査を予定していたが、予算上の制約やヒマラヤにおける治安悪化などの諸条件のためにアンデス高地のみで集中的に調査を実施することになった。とくに、アンデス高地の特色を知るために、従来から調査を行ってきた中央アンデスのみならず、北部アンデスや南部アンデスも比較調査を実施した結果、中央アンデス高地の環境およびその利用の方法の特異性が浮かび上がってきた。そのため、調査時期の後半では、中央アンデス高地において文化人類学者とともに草地学、自然地理学、遺伝学などの自然科学系の研究者が共同で調査を実施、学際的な視点から中央アンデスにおける環境、牧畜文化、農耕文化などに関する興味深い知見を数多く得た。これらの結果をもとに、国内において何度も共同研究会を行い、意見を交換しながら報告書の刊行にむけて準備を進めた。その結果、京都大学学術出版会から報告書を刊行することが決定し、本年内には「中央アンデス高地-環境・文化・暮らし」の表題で刊行できる見通しを得ている。
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