研究課題/領域番号 |
13371011
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
前川 要 中央大学, 文学部, 教授 (70229285)
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研究分担者 |
玉井 哲雄 千葉大学, 工学部, 教授 (80114297)
深澤 百合子 札幌国際大学, 人文・社会学部, 教授 (90316282)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
辻 誠一郎 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (20137186)
斉藤 利男 弘前大学, 教育学部, 教授 (90162213)
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キーワード | 白主土城 / パクロフカ文化 / 北からの蒙古襲来 / kuo-huo / 版築 |
研究概要 |
本研究では、ロシア連邦サハリン州南部において、分布調査・遺跡探査・発掘調査を実施して具体的に以下の問題点を解明することを目的とした。日本列島で生産された中世陶器が果たして出土するのか。北海道の中世チャシや東北北部の防御性高地集落の原型が存在するのか。青森県十三湊遺跡や北海道大川遺跡で多く出土するガラス玉が出土するのか。北海道で出土する内耳鉄鍋や鉄製コイル状垂飾などの鉄製品は、サハリンで出土するのか。また、関連分野では、建築史学、植生史、言語学、文献史学(古代・中世)、炭素同位体年代測定法の各研究者を揃え、考古学を中心に学際的な研究組織を揃えた。住居形式は、近世チセと比較してどうなのか。北海道擦文期の住居と比較してどうか。サハリンのアイヌ期の植生や気候はどうであったのか。遺物が多く出ないチャシにおいて、炭素同位体年代測定法の活用は重要であり、年代の不明なチャシの年代決定に不可欠である。後世の異物があまり多くないサハリンにおいては、遺跡探査の手法特に、レーダ・電気・磁気探査は遺構や鉄製遺物の検出に威力を発揮するであろう。それから、考古学的資料がそろった段階でもう一度文献資料を再検討する必要性も存在するであろう。以上が本年度明らかにした具体的問題点および目的である。 この年度が、本格的な調査を実施する最も重要な年度であった。遺跡探査の解析に基づいて、最も残りの良さそうな土塁と堀、内部平坦面に、研究分担者であるサハリン州立大学のA.ワシレフスキー教授、サハリン州郷土博物館O.シュービナ研究員に指導助言を仰ぎながら、発掘調査区(約100m^2)を設定した。前川要と深沢百合子の指示の下で富山大学人文学部考古学研究室、理学部地球科学科地殻構造論、名古屋大学文学部考古学研究室、そしてサハリン総合大学大学院生約10名を雇い上げて、7月5日〜15日まで約2週間程度で発掘調査を実施した。また、土城の調査と並行して、白主川左岸遺跡で来年の発掘調査に備えて測量調査も実施した。出土した遺物は、現地でなるべく図化、写真撮影を行い、サハリン州立大学に保管した。検出した遺構は、地理情報システム(GIS)Arc-Info(富山大学備品)に入力して、測量成果・遺跡探査成果・試掘調査成果の図面との重ね合わせを行った。
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