研究課題
本研究では、ロシア連邦サハリン州を中心として、北東日本海域における古代から中世の交流の実態を考古学的に明らかにすることを目的とした。そのために中世陶器の流通の問題、北東アジアにおける在地土器生産の問題、北海道の中世チャシや東北北部の防御性集落、ロシア沿海州の土城について考古学的な調査を進めた。また関連分野では、建築史学、植生史、言語学、文献史学、炭素同位体年代測定法の各研究者をそろえ、学際的な研究組織を構成した。本年度は、サハリン州立大学のA.ワシレフスキー教授、ウラジオストック科学アカデミーのA.イーブリエフ教授の指導・助言を仰ぎながら、土城内部平坦面の発掘調査(約100m^2)を7月5日〜13日まで約1週間程度行った。発掘調査終了後、7月26〜28日に函館で研究会議を函館で行った。白主土城とサハリンの土城の比較、及び北海道のチャシとの比較検討を行った。また北東日本海域の古代から中世にかけての交易の様相を明らかとするために、鉄と須恵器の生産と流通について検討したほか、北海道における擦文集落の立地と変遷について議論した。またこれまでの調査研究の成果を公表するために、2月26・27日に北海道大学学術交流会館において北東アジア国際シンポジウムを開催した。シンポジウムは、1・白主土城の諸問題、2・北東アジアの古代から中世の土器様相、3・北東アジアの流通の諸様相の三部構成で、北東アジアにおける古代から中世にかけての交流の実態について発表が行われた。考古学だけではなく、文献史学・建築史学・自然科学など関連諸分野の研究報告が行われ、また国外からも7名の研究者を招聘した。白主土城の歴史的な位置づけのほか、北東アジアにおける土器様相、交易の様相について検討された。
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