アフリカの半乾燥地域における環境変動と人間生活に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13371013
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 水野 一晴 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (10293929)
• 研究分担者: 木村 圭司 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30294276) ; 沖津 進 千葉大学, 園芸学部, 教授 (70169209) ; 荒木 茂 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00158734) ; 吉田 浩之 慶應義塾大学, 総合政策学部, 専任講師 (10317307) ; 山縣 耕太郎 上越教育大学, 学校教育学部, 助手 (80239855)
• キーワード: 半乾燥地 / 環境変化 / 植生遷移 / 人間活動 / 砂漠化 / 土壌生成 / 気候変動 / ナミビア

研究概要

本研究では、アフリカの半乾燥地域における近年の環境変動の動態を明らかにし、環境変化とその人々に及ぼす影響やそれに対する住民の対応策を探るのを主目的としている。そのために、ナミビアおよびその周辺国の半乾燥地域において、完新世の環境変化を解明し、さらに,近年の降水量変化や乾燥地域の空間的広がり、植生・土壌の変化、土地利用や農業の変化を明らかにするための調査を実施する。平成14年度には以下のような調査・研究を行った。
(1)ナミブ砂漠、クイセブ川流域において、一斉枯死しているアカシア等の樹木の分布や枯死年代を明らかにし、土壌断面調査から、いつごろの、どのような環境変化が植物遷移をもたらしたかを検討した。
(2)ナミビアにおいて降水傾度に沿ったサバンナ植生景観の変化を、落葉樹割合や葉の大きさに着目して検討した。
(3)ナミブ砂漠とオバンボランドにおいて、植物分布・遷移と住民生活との関わりについて調査した。また、オバンボランドでトウジンビエの食料的重要性について農学的調査を行った。
(4)米国のデータセンターから入手した地点降水量データなどから、アフリカ南西部の半乾燥地域における降水日の降水要因を区分し、その季節変化および経年変動を明らかにした。
(5)衛星センサーSPOT VEGETATIONからの時系列データを用いて、季節変化に着目した植生分析を行った。
(6)カラハリ砂漠に分布する古砂丘の活動期および安定化の年代を明らかにするための年代測定試料の採取や広域的な土壌特性の地理的変化を明らかにするための土壌試料の採取を行った。また、クイセブ川における最近の洪水頻度の変化がクイセブデルタの地形変化に与えた影響を検討した。

研究成果

• [文献書誌] Zaiki, M., K.Kimura, T.Mikami: "A statistical estimate of daily mean temperature derived from a limited number of daily observations"Geophys. Res. Let.. 29. 18-39 (2002)
• [文献書誌] 澤田 大介, 本條 毅, 丸田 頼一, 木村 圭司: "ランドサットTMデータによる都市の緑被地と表面温度分布との関係"環境情報科学. 32. (2003)
• [文献書誌] 山縣耕太郎: "自然環境変動と人類の歴史"『東アジアの歴史表象』清文堂出版. 55-70 (2002)
• [文献書誌] Okitsu, S.: "Structure and dynamics of the Ceratodon purpureus-Bryum pseudotriquetrum community in the Yukidori Valley, Continental Antarctica"Polar Bioscience. 16. (2003)
• [文献書誌] 水野一晴: "ナミブ砂漠の自然"地理月報. 470. 4-5 (2002)
• [文献書誌] Hiroyuki, Yoshida: "Environmental Knowledge : its morphology, function and outcome"Keio SEC Journal. Vol.1,No 1. 56-78 (2002)
• [文献書誌] 沖津 進: "北方植生の生態学"古今書院. 212 (2002)