研究課題/領域番号 |
13373002
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
本蔵 義守 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00114637)
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研究分担者 |
伊東 明彦 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (70134252)
大志万 直人 京都大学, 防災研究所, 教授 (70185255)
小川 康雄 東京工業大学, 火山流体研究センター, 教授 (10334525)
松島 政貴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20242266)
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キーワード | イズミット地震 / 地震活動 / 余震 / アスペリティー / MT観測 / 比抵抗構造 / 地震ダイナモ効果 |
研究概要 |
本計画で構築したトルコ北西部イスタンブール周辺域の微小地震活動モニターシステムは順調に稼働しており、ウェブ上で地震活動の推移が常時把握できている。同時に、こうした観測システムから得られる地震データは、主として地震波トモグラフィーの研究に使用しており、イズミット地震震源域の西方で近い将来に発生が予想される大地震の震源域では、地震活動が浅くなる傾向にあることなどを示した。また、地震波速度構造の詳細を明らかにしつつあり、活断層との関連などを調べているところである。中規模地震データに対する波形解析では、地震発生のメカニズムに関する情報が蓄積しつつあり、地殻応力の分布などがわかりつつある。地震活動そのものについては、イスタンブール南方域に予想される大地震の震源域では活動は活発ではなく、その両端の地域でやや活発な状況となっている。電磁気観測では、広帯域MT観測を引き続き行ったほか、長周期MT観測や短周期MT観測も行い、イズミット地震の震源域全体をカバーする広い領域の比抵抗構造を解明した。その結果、震源域は高比抵抗層とよい一致を示すことがわかり、高比抵抗層がアスペリティーに対応するという重要な結論が得られた。また、この地域で最も特徴的な構造として、下部地殻やマントルに拡がる低比抵抗層を発見し、部分溶融を示すものと解釈した。深部の低比抵抗層と浅部の高比抵抗層との間は、やや低い比抵抗値を示すことから、深部からの水の流動が関与しているものと解釈している。イズミット地震時に新しく発見した地震ダイナモ効果については、国内で発生した地震をターゲットとして観測研究を進めた結果、M4.0程度以上の地震については、震源域の近傍でこの効果が観測できることを示した。また、M7.0程度以上の大地震でないと、地震波到達前に電磁シグナルを検出することは困難であることもわかった。
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