研究課題
基盤研究(A)
北半球の気候問題や地球規模でのエネルギー循環や水蒸気循環を理解する上で、北極圏に位置しながら厳冬期においても海氷に覆われないノルウェー海の存在は重要かつ特異な役割を果たしている。中緯度帯に起源を持つ暖かい気団は冷たい北極気団とノルウェー海付近で接し傾圧帯を形成する。この海域での大気は海氷に覆われていない海面から大量の熱と水蒸気の供給を受けて下層を不安定化し、時にはポーラーローと呼ばれる小規模ながら激しい低気圧を発生させる。これらの気象擾乱の活動や構造、また降水特性を調べるため、2001年9月から2004年8月までの約3年間、ノルウェー海の孤島ベアーアイランド(Bjornoya)(74°30'N,19°01'E)のノルウェー気象局測候所に北大理学研究科のXバンド鉛直ドップラーレーダーを設置してデータを取得した。この海域で年間を通して降水現象のレーダー観測は初めてである。現在まで、得られたデータから降水量の空間分布を推定するため、レーダー反射強度(Z)と降水強度(R)の関係式(Z-R関係式)や降水強度と落下速度(V_p)の関係式についても調べ、観測期間中の降水強度の高度分布や鉛直積算含水量を推定した。また、レーダーデータと比較をする観測値として6時間毎に観測されているベアーアイランド測候所の値を用いて検討した。その結果、比較に用いた降水データの時間分解能や冬季間の飛雪などの観測誤差を考えると、今回得られた観測データから特別にZ-R関係式を導出して降水強度を推定するよりは、降雨の場合の一般的なZ-R関係式を用いて降水強度を推定し、レーダーからのドップラー速度を用いて降雨か降雪かを判定し、レーダー反射強度と落下速度の関係式を用いて含水量に変換する方法が妥当であることが分かった。この方法を用いて3年間の観測期間の降水量と時間積分含水量を見積もった。また、スバルバール諸島ニーオルスン基地(78°55' N,20°25'E)における国立極地研究所の鉛直ドップラーレーダーによる降水強度の比較も行った。一方、フィンランド北極域のフィンランド気象局ソダンキラ北極研究センターにおいて、4冬季間の降雪粒子、エアロソル粒子の観測の他、北極域における積雪の圧密過程、圧縮粘性率の観測も行い興味ある結果が得られた。
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