研究分担者 |
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40216932)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
内山 隆 千葉経済大学, 短期大学部, 教授 (00269367)
池田 重人 森林総合研究所, 東北支所・温暖化影響チーム, チーム長(研究職)
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研究概要 |
平成13年8月26日から9月12日に西シベリアのNobosiviruskの西方の地域において,堆積物の採取,植生調査,土壌調査等を行った。 1.植生 今回,調査を行った地域は,北から,ヨーロッパアカマツやカバノキ属を中心とする北方針葉樹林(タイガ),カバノキ属がパッチ状に分布するウッドランド,イネ科,アカザ科など草本植物を中心とするステップであった。また,低湿地帯では,乾燥のため水分が蒸発し,塩分が土壌表面に集積し,このような立地にはアッケシソウなどの塩性植物群落が広がっていた。 2.堆積物採取 Nobosiviruskの西方160km〜200kmに位置する湖が干上がった湿地(地名:SumaおよびKundran)において,それぞれ深度10mまでの堆積物を採取した。また,同じく西方360kmに位置するChany湖の堆積物を深度2mまで試掘した。これらの地点の堆積物はほとんどが,粘土またはシルトであった。さらに,Nobosiviruskの北30kmのBeloe湿原で2.5mの泥炭堆積物を採取した。 3.堆積物の放射性炭素年代 SumaとKundranにおいて採取した堆積物の放射性炭素年代を測定した。その結果は以下のとおりであった。 Suma 深度495cm 有機質粘土 26990±200yrBP Suma 深度1020cm 有機質粘土 19460±90yrBP Kundran 深度445cm 有機質粘土 31300±320yrBP Kundran 深度770cm 有機質粘土 25290±190yrBP 以上のように,SumaとKundranにおいて採取した堆積物は少なくとも2万年前よりも古いことから,少なくとも最終氷期最盛期以降の堆積物であることが明らかになった。両地点とも,深度の深い層準の年代が上位の年代よりも古い値が得られた。この矛盾については,下層の堆積物が上層のより新しい有機物の混入により,若い年代がでた可能性がある。今後さらに詳しい年代測定を行い,この矛盾点の解明が必要である。 4.花粉分析 Suma堆積物について,下層から上層まで,概略の花粉分析を行った結果,花粉含有量が極めて少ないことがわかった。しかし,層準によってはアカザ科,イネ科の草本を中心とする花粉組成を得ることができた。今後,詳しく花粉分析をはじめとする各種分析を進めてゆく予定である。
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