研究課題/領域番号 |
13375010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 紀郎 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (80026434)
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研究分担者 |
楠美 順理 中京大学, 教養部, 講師 (10319220)
若井 晋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30158571)
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
夏原 由博 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20270762)
下田 妙子 九州女子大学, 家政学部, 教授 (20106280)
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キーワード | アラル海 / 砂漠化 / 潅漑農業 / 植生 / 水質 / 塩 / 気象変化 / 貧血 |
研究概要 |
アラル海の消滅速度は急激である。2002年の衛星画像による観察研究結果によれば、湖岸線の後退速度は20m/日で、年間7.3kmである。1960年代からの流入水の激減によって、その湖面積が4分の1となった。湖面積の減少による新たな沙漠の出現、流域の水環境の変化がいかなる影響を流域住民の生業、生活、社会経済、さらに中央アジアの生態系に及ぼしているのかを明らかにすることが本研究の課題である。本研究グループの2002年度活動は次の3課題を中心とした。1)小アラル海再生計画(ダム建設)の実現性を水質、水生動物相からの評価2)旧アラル海湖底(沙漠)のリハビリテーション施策立案に向けた植物相と動物相の遷移を鳥類生息調査からの評価、3)地域住民(とくに児童)の健康障害の実態把握とその原因としての生活環境質についての疫学調査である。 アラル海は縮小してとはいえ、北部アラル海(小アラル海)ではシルダリア河口域を中心として、淡水性魚類を漁獲する漁業が小規模ながら存続している。小アラル海と大アラル海を分断して、シルダリア川の流水を小アラル海のみに貯留する試みがなされてきた。2003年からの本格的なダム建設が実現すれば、小アラル海部分は湖として再生されるであろう。本研究グループはダム建設の事前調査として、小アラル海の水質、プランクトン、魚類、湖水の化学分析を実施、小アラル海の水質的、生物的再生の可能性を証明した。また、旧氾濫原を中心にしたリモートセンシング法による植生と土壌分布解析から、今後の沙漠化防止対策の基礎的知見を収集した。アラル海干上がりという環境変化と健康障害の関係を800人の児童を対象とした疫学調査によって、低栄養、貧血、呼吸器機能障害が多発している事実を確認し、その発生要因の解析に着手した。
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