研究分担者 |
甲山 隆司 北海道大学, 大学院・地球科学研究科, 教授 (60178233)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
平野 高司 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20208838)
松原 健司 淑徳大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (80296300)
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研究概要 |
カハヤン川とセバンゴ川に挟まれた地域では、メガプロジェクトによる運河掘削による火災による荒廃が著しいが、メガプロジェクトの凍結により放棄されたままである。この放棄地、焼け跡地を中心に、森林植生の回復と泥炭の保全のシステムを構築することを目指し、以下のような調査研究を進めた。 (1)環境評価システム 1)化学物質の動態とリグニン分解の評価 土壌試料、河川や湖沼の水試料を採取し、実験室において解析を行った。Finland Plot(パランカラヤ)の泥炭土壌からは、白色腐朽菌が得られ、現在この白色腐朽菌の代謝機能を評価中である。また、環境の基礎データとして水質分析を行った。 2)熱帯泥炭林における微気象およびフラックス観測 カリマンタン・パランカラヤ近郊のカランパンガンにて熱帯泥炭林における微気象およびフラックスの連続観測を実施している。現地の連続観測データが,約1ヶ月おきに郵送されるので,データの解析を連続して行なっている。 観測地点を、カランパンガンの焼失地とセテアラムに新たに設置し、観測を開始した。 3)熱帯泥炭林における火災跡地の植生回復状況のモニタリング 中部カリマンタン地域環境の評価法としてのリモートセンシングを利用して、主として日射・水質・森林にかかわる環境の評価を行った。 (2)地域社会支援システム 1)森林修復活動 a)植栽苗木の調査:Shorea balangeranが生残率、成長量が大きく、撹乱跡地における泥炭林修復に適当な樹種と考えられた。次いでS.selanicaで、S.pinangaは修復には不向きである。 b)光合成特性:泥炭林自生種であるPalaquium leiocarpum, Mezzettia sp., Gonystylus bancanus, Dyera lowii苗木の光合成特性を測定した。光合成能力が高いのはPalaquium leiocarpumで、次いでMezzettia sp.、Dyera lowii、Gonystylus bancanusであった。2002年の測定結果も含めると、もっとも光合成能力が高いのはShorea balanngeranであった。 c)新たな植栽試験地:パランカラヤ郊外に新たな植栽地を設定した。今後さし木によって養成したPalaquium leiocarpum, Mezzettia sp., Gonystylus bancanus苗木の生残・成長を2ヶ月おきに調査する。 d)デンドロメータの設置:カランパンガン実験林の天然生個体に11月下旬に設置した。対象樹種数は15種、個体数は43個体である。デンドロメータの測定は毎月行う。
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