研究課題
基礎研究として、生活習慣病危険因子改善効果を検討のためのスクリーニング系を開発するとともに、各種のフィトケミカルについて検討し、報告した。これらの基礎研究の成果をヒトへの効果について検討するために、タンザニアおよびオーストラリアで共同研究を実施した。タンザニア都市部の青年86名を対象に、食塩感受性高血圧について検討するとともに、24時間尿を採取し食生活習慣におけるフィトケミカルの役割を検討した。また、オーストラリア、ビクトリア州在住アボリジニの20〜74歳を対象に、WHO-CARDIAC研究方式による健診を実施した。問診票および、血液検査の結果から50代では高肥満66.7%(男)、58.3%(女)、高コレステロール血症77.8%(男)、83.3%(女)、高血糖77.8%(男)、60代女性では高肥満77.8%、高脂血症100%、高血圧88.9%、高血糖55.6%であった。この結果は60調査地域の中で生活習慣病の最多発集団であることが示された。これらを含めた25カ国60地域を対象とした検診データをもとに、代表的なフィトケミカルである大豆イソフラボン摂取と循環器疾患の危険因子との関連性について総合的な解析を実施した。その結果、24時間尿中イソフラボン排泄量より推定された大豆の摂取量は、25カ国における年齢補正後の冠動脈疾患の死亡率と負の相関が認められた。また、24時間尿中のイソフラボン排泄量を測定した1801人では、大豆を摂取している人の肥満度指数(BMI)、収縮期血圧および血中総コレステロールの値が摂取していない人に比べて有意に低い値を示した。
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