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2002 年度 実績報告書

アジアにおけるエイズ流行とその背景にある宿主要因に関する分子疫学的調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 13376002
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

武部 豊  国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (50126116)

研究分担者 塩田 達雄  大阪大学, 微研・免疫生体防御研究部門, 教授 (00187329)
佐藤 裕徳  国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (80260272)
椎野 禎一郎  国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (90291129)
保富 康宏  三重大学, 医学部・生体防御学講座, 助教授 (90281724)
滝口 雅文  熊本大学, 医学部・エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
キーワードアジア / HIV / 分子疫学 / 遺伝子多型 / CTLエピトープ / CCR2 / 経口ワクチンベクター
研究概要

アジアをフィールドとしたエイズ流行およびその背景にある宿主要因に関する分子疫学および新たな感染防御・発症阻止技術の開発に関する研究を進めた。
(1)中国におけるHIV流行のエピセンターと考えられる中国雲南省のHIV流行の分子疫学的解析を3地域(Wenshan(東部),Honghe(東南部),Dehong(西部))の注射薬物乱用者(Injecting drug user, IDU)を対象として行い、次の研究成果を得た。1)組換え型流行株(circulating recombinant form, CRF)CRF08_BCは雲南省東部地域に広く分布している(Wenshanで89%,Hongheで81%)が、西部のDehong地域には見い出されない(0/14)。2)一方、Dehong地域のウイルス株の71%(10/14)は、主としてサブタイプB'(サブタイプBのタイ型HIV-1ヴァリアント)とサブタイプC間の多様な組換えウイルス(unique recombinant form, URF)であったが、残り29%(4/14)は、サブタイプB'であり、東部地域とは全く異なるウイルス分布を示した。3)これらの知見から、新型のHIV-1組換えウイルスがミャンマー国境に接する雲南省西部地域において新生しているという世界でも極めてユニークな流行状況を明らかにした。またこの地域のIDUに見られるサブタイプ、CRFおよびURFの不均一な分布から、ウイルス伝播の比較的独立したネットワークおよびクラスターが存在することが推論された(武部)。
(2)タイとの共同研究によって、Discordant couple(夫婦の一方だけがHIVに感染しているケース)の非感染配偶者とHIV感染配偶者間での遺伝子多型頻度の違いを薬物治療に対する効果の差異も加味して解析が進行中である(塩田)。
(3)タイを中心とするアジア地域における流行形成に重要な役割を果たしているウイルス株であるCRF01_AEと欧米に広く流布するウイルスであるHIV-1サブタイプB感染者のそれぞれから樹立されたT細胞株によるエピトープ認識を比較する研究がさらに進展しつつある(滝口)。
(4)アジア型HIV-1ヴァリアントを標的とするE型肝炎ウイルス・ウイルス中空粒子(VLP)による新しい経口ワクチンベクターを開発し、その免疫原性の評価が進行中である(保富)。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Fukuda, K., Wasi, C., Kusagawa, S., Sato, H., Oka, S., Takebe, Y., Takiguchi, M.et al.: "Cytotoxic T cell recognition of HIV-1 cross-clade and clade-specific epitopes in HIV-1-infected Thais and Japanese patients"AIDS. 16. 701-711 (2002)

  • [文献書誌] Yang, R., Xia, X., Kusagawa, S., Zhang, C., Ben, K., Takebe, Y.: "On-going generation of multiple forms of HIV-1 intersubtype recombinants in Yunnan province of China"AIDS. 16. 1401-1407 (2002)

  • [文献書誌] Yang, R., Kusagawa, S., Zhang, C., Xia, X., Ben, K., Takebe, Y: "Identification and characterization of new class of HIV-1 recombinants comprised of two circulating recombinant forms, CRF07_BC and CRF08_BC, in China"J. Virol.. 77(1). 685-695 (2003)

  • [文献書誌] Matsuoka-Aizawa, S., Sato, H., Hachiya, A., Tsuchiya, K., Takebe, Y., Kimura, S., Oka, S.: "Isolation and molecular characterization of a nelfinavir (NFV)-resistant human immunodeficiency virus type 1 that exhibits NFV-dependent enhancement of replication"J. Virol.. 77(1). 318-327 (2003)

  • [文献書誌] Motomura, K., Kusagawa, S., Lwin, H.H., Thwe, M., Kato, K., Ohishi, K., Yamamoto, N., Zaw, M., Nagatake, T., Takebe, Y.: "Different subtype distribution in the two cities in Myanmar : Evidence for independent clusters of HIV-1 transmission"AIDS. 17(4). 14-17 (2003)

  • [文献書誌] Kaizu, M., Sato, H., Ami, Y., Isumi, Y., Nakasone, T., Tomita, Y., Someya, K., Takebe, Y., Kitamura, K., Tochikubo, O., Honda, M.: "Infection of macaques with an R5-tropic SHIV bearing a chimeric envelope carrying subtype E V3 loop among subtype B framework. Archives of Virology"Archives of Virology. (accepted).

  • [文献書誌] Takebe, Y., Motomura, K., Tatsumi, M., Yang, R., Lwin, H.H., Zaw, M, Kusagawa, K.: "High prevalence of diverse forms of intersubtype recombinants in Central Myanmar : geographical hot spot of extensive recombination"AIDS. (accepted). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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