研究課題
研究代表者らは、平成3年以来タイ東北部及びメコン川流域の青壮年男性に多発する突然死の成因に関する国際学術(調査)研究を推進すると同時に、腎特有の物質輸送に関与する膜タンパク質(トランスポーター)の分子同定に関する研究を進行させてきたが、本研究は、この細胞膜輸送の分子基盤に関する研究の成果を突然死症候群の成因追求に発展させることを目的として推進されている。平成16年度は、研究代表者らが見い出した腎近位尿細管有機溶質トランスポーターのうち、特に尿酸トランスポーターとシスチントランスポーターの遺伝性疾患との関わり、その病態的意義についての検討を行った。URAT1欠損患者は遺伝性の腎性低尿酸血症を呈すが、日本国内における遺伝性腎性低尿酸血症の9割近くがURAT1の変異をホモ型で持つことが明らかになった。URAT1の完全欠損では、尿酸クリアランス/クレアチニンクリアランス比は0.6程度まで上昇していた。従ってURAT1はヒト腎臓近位尿細管管腔側で生理的に尿酸再吸収トランスポーターとして働いていることがさらに実証された。URAT1の完全欠損による遺伝性腎性低尿酸血症患者ではプロベネシド、ベンズブロマロン、ピラジナミドに対する薬理作用が消失するので、URAT1はこれらの薬物の唯一の作用点であると考えられた。シスチントランスポーターは、昨年度明らかにしたトランスポータータンパク質C-末端のアジア型点変異が、そこに結合するタンパク質との相互作用を阻害することが明らかになり、結合タンパク質を酵母ツーハイブリッド法により同定した。結合タンパク質側の変異でも、トランスポータータンパク質の変異と同様な輸送機能不全が惹起される可能性があり、URAT1のC-末端の結合タンパク質として同定したPDZK1とともに、今後の疾患症例での変異の検討が必要とされる。
すべて 2005 2004
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