研究課題/領域番号 |
13410003
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小林 稔 上智大学, 神学部, 教授 (50138369)
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研究分担者 |
オリアリー J. S. 上智大学, 文学部, 講師 (50235818)
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
リーゼンフーバー K. 上智大学, 文学部, 教授 (60053633)
川村 信三 上智大学, 神学部, 講師 (00317497)
佐藤 直子 上智大学, 文学部, 講師 (60296879)
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キーワード | 人文主義 / ルネサンス / 新プラトン主義 / 神学 / アウグスティヌス主義 / ギリシア教父 / ラテン教父 / 霊性史 |
研究概要 |
平成13年度には本研究は14世紀後半から1510年代に至る西洋中世末期・ルネサンス思想における教父思想の復興史を解明することを課題とし、個人研究と共同研究の成果として主に以下のことが研究され発見された。1.15世紀における教父写本の発見・研究・刊行の歴史が解明され、その中心地や指導的教父研究者が人文主義のそれらと大幅に重なる(イタリアではフィレンツェ・パドヴァ、フランスではルフェーヴル・デタープル、ドイツではエラスムス)。2.中世にはほとんど注目されていない、また著作が手元になかったラテン教父、特にラクタンティウス、テルトゥリアヌスと、ギリシア教父(4世紀のクリュソストモス、バシレイオス、ナジアンゾスのグレゴリオス)の重大な著作が再発見された。3.これらの教父は古代の修辞学的伝統を代表する以上、教義の面からというよりも古典古代に対する人文主義の関心の面から研究される。4.人文主義者にとって最大の関心となっている聖書の研究が焦点となり、教父の聖書解釈が教父研究の重大なテーマとなる。5.教父(クリュソストモス)におけるパウロ書簡註解にもとづき、自然と恩寵の関係が新たに議論され、宗教改革の問題提起に基盤が整えられる。6.南ドイツとイタリアにおけるベネディクト会修道院刷新運動では教父の霊性が教父研究の主題となる。7.4世紀カッパドキア教父の似姿論はルネサンスの人間尊厳論の原動力の一つとなる。8.人文主義者がヒエロニュムスなどの教父の伝記を著すのは(エラスムス)古典古代に対する自らの関心を本来キリスト教的なものとして示す動機にもとづく。9.教父の新プラトン主義的神学への研究をもとにイタリアの人文主義ではプラトン的神学を展開することができ、アリストテレスに代わってプラトンをキリスト教神学の哲学的基盤とする要請が生じた。10.ディオニュシオス・アレオパギテスの神秘思想はルネサンスにおけるユダヤ神秘思想(カバラ)などに対する研究への橋渡しの一つとなった。
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