研究課題/領域番号 |
13410012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊野 純彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (00192568)
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研究分担者 |
星野 勉 法政大学, 文学部, 教授 (90114636)
谷 隆一郎 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60128048)
関根 清三 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90179341)
湯浅 弘 川村学園女子大学, 人間文化学部, 助教授 (10230608)
壽 卓三 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30186712)
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キーワード | 倫理 / 身体 / ヘレニズム / ヘブライズム / 気息 / 呼吸 / 心身合一 / 人格 |
研究概要 |
本研究は、西洋倫理思想史ならびに西洋哲学史において古来問われつづけてきた「身体」の間題をめぐって、現在的な状況との関わりのなかで改めて正面から間いなおそうとするものである。本年度は研究計画の初年度であり、西洋倫理思想史の源泉としての、古代ヘブライ思想ならびにギリシア思想について、その読み直しをはかるととともに、それとの反照において、近代以降の西洋倫理思想史における身体観の展開をも捉えかえす手がかりを求めようとした。具体的には、時代ごとに区分された各分科会が、随時、研究会を開催するとともに、12月には全体研究会を開催して、研究の方向を討議し、またこれまでの研究の動向を報告しながら、新たな研究成果について検討をおこなった。その結果、通常は対立して考えられるヘブライズムとヘレニズム(古代ギリシア思想)の両者において、意外なほどの類似性が確認されること、近代以降の身体観と一般にはまとめられるもののうちには、存外に多様な展開が見られ、なお十分には研究されていない、さまざまな可能性が秘められていることが確認された。ヘレニズムとヘブライズムとに共通して認められる身体観とは、一口で言えば、気息あるいは呼吸をモデルとした身体の捉え方であるが、そこには同時に、いわゆる身体といわゆる精神とを一つのものとして考えようとする思考の傾向があり、それは、たとえばデカルトの所論にも見られるとおり、実は近代以降にあっても完全には消失したわけではない。そうした身体観はまた、身体をめぐる現下の議論にあっても、もう一度かえりみられるに価するものであるように思われる。
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