研究課題/領域番号 |
13410014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊東 乾 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (20323488)
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研究分担者 |
六角 鬼丈 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30240435)
野村 四郎 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (00313320)
有賀 誠門 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (90107334)
七丈 直弘 東京大学, 大学院・情報学環, 助手 (30323489)
佐々木 正人 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (10134248)
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キーワード | 演奏行為 / 非筆記的定量 / マルチ画角CCD / 音声画像アーカイヴ / 生態認知科学 / 知識構造化 / データコーパス / ヴィデオ オン デマンド |
研究概要 |
演奏行為の非筆記的記録にあたって、第三年度はモーションキャプチャシステムを導入したことで大きな進展を見ると同時に新たな研究課題が浮き彫りなった。通常の演奏行為を阻害しない状況での動作情報の非筆記的取り込みであるモーションキャプチャシステムの導入は研究計画の当初から予定されていたものであるが、適用にあたって具体的な問題の解決など準備に時間を要したが、株式会社シードなどの協力により、画像処理ベースのみで動作解析が可能な「マーカレス モーションキャプチャシステム」を洋楽打楽器、能楽ならびに管弦楽の演奏全体に適用、ベルリオーズ「幻想交響曲」全曲(有賀教授退官記念演奏会)、隅田川(野村教授退官記念演能)、ドヴォルザーク「交響曲第七番」(中野区民交響楽団演奏会)など、通常の演奏状態まるごとのモーションキャプチャ・アーカイヴィングに初めて成功した。 とりわけ<中野区民交響楽団>に関しては、準備練習段階に今まで2年間の研究成果ノウハウを計画的に投入し、その有効性を従来のプロフェッショナルベース(読売日本交響楽団など)のみならず、広く一般アマチュアに対しても示すことができ、高い成果をあげることができ、これらを含めた間口の広い形での成果の取りまとめが可能となった。反面、現状システムの技術的限界として回転運動の取り込み、呼吸その他関連の重要情報を補う必要性などが浮上し、実空間との関係においてそれを解決すべく、東京大学医学部スポーツ整形外科、東京大学医学部付属病院耳鼻科などとの協力に端緒をつけることとなった。 演奏する身体の非筆記的な解析とノウハウの洗練という課題の3年にわたる追求から、おのおのの楽員が常に抱える身体故障の危機と、とりわけそれらの故障と実際に演奏しながら付き合い続けてゆかねばならない、という本質的な課題があぶりだされた形となりこれを、演奏ならびに空間設計まで含め「ブレス+フォルム→フレーズ」という簡潔なメソードにまとめる当初計画以上に、アウエアネス・アラインメント・アジャストという医学の枠組みを拡大しての整理と、今後の継続課題の具体化にまでつなげることができたのは大きな成果であった。 これらを報告書ならびにWWW成果物としてまとめ、爾後の展開に資するものしている。
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