研究課題/領域番号 |
13410019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 康宏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50141990)
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研究分担者 |
大久保 純一 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (90176842)
河野 元昭 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70000453)
馬渕 美帆 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (60323557)
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (00242074)
山下 裕二 明治学院大学, 文学部, 教授 (50200697)
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キーワード | 都市 / 京都 / 赤壁 / 江戸 / 蕪村 / 喬仲常 / 広重 / 雪村 |
研究概要 |
佐藤と板倉の論文は、2002年10月に台湾で開催された国際シンポジウムのための口答発表原稿として書かれ、予備的な報告書に掲載されたものである。改訂された論文が英文の報告書で2003年に刊行される予定。佐藤の論文は<雅俗>と<都市図>を主たる論点とし、現実の都市の景観を一種虚構化することが当時の芸術思潮では優勢であり、それが「夜色楼台図」の成立にも必要な手続きだったと考える。また、明末蘇州で制作された実景図、都市図のほか、日本絵画の先例や蕪村の京都生活との関係を探り、この画がいかなる地層の上に現れたかを考察する。結論として、蕪村の句に詠まれた家のイメージとこの画の絵画表現を手掛かりに、<都市の哀歓>というべき私的な感情の発露が、虚実の交錯のうちに表されていることを説く。板倉の論文は、赤鼻磯の実景からはかけ離れた記憶の中にのみ存在する赤壁の風景が、どのように作られたかを明らかにしている。 広重の「名所江戸百景」を論じる大久保の論文は、現時点で印刷中である。山下の共著は展覧会の図録として編集されたもので、江蘇省鎮江市の金山寺も描いた雪村について種々の再考を促す論考となっており、この関東の画家を通して同時代の京都の画家の画業を逆照射する展望も見せる。 なお、印刷された研究実績以外に、馬渕は、2003年1月の美術史学会東支部例会において「歴博乙本<洛中洛外図>の筆者・制作年代考」と題する口答発表を行なった。
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