| 研究概要 |
本研究の目的は,前頭連合野における報酬に基づいた行動におけるモノアミンの役割を明らかにすることにある.
この目的のために,本年度は前頭連合野の報酬処理系をニューロンレベルで解析した。2頭のサルに眼球運動性の遅延課題を訓練し,反応としての記憶誘導性サッケードの後に報酬がもらえる試行と報酬無しの試行をランダムに混ぜた。この課題を遂行中のサルの前頭連合野からニューロン活動を記録することにより、直前の反応の特徴(記憶誘導性サッケードの方向)に依存し,かつ,報酬の有無に依存して活動を変化させるニューロン活動が前頭連合野背外側部に豊富に存在することをみつけた。これらのニューロン群は「反応結果」を再現していおり,報酬の有無を直前の行動反応と役割をしていると考えられる。
さらに,2頭のサルにアンチサッケード課題を改良した行動課題を訓練し,前頭連合野からニューロン活動を記録して解析したところ,報酬の期待がメモリ関連活動を増強させ,かつ,メモリ活動の情報量を高めることを明らかにした。報酬の期待は,前頭連合野のメモリ過程に作用し,運動の準備などの行動制御過程には影響しないことも明らかになった。
こうして,1)報酬の有無を行動結果依存的に再現するニューロン活動,および2)報酬期待によって情報量を高めるメモリニューロンが前頭連合野に存在することが判明したので,次の暖秋として,こうしたニューロン活動におけるモノアミンの役割を解明する実験に着手し,現在,データを収集中である。
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