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2002 年度 実績報告書

チンパンジーの聴覚と音声に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13410025
研究機関京都大学

研究代表者

小嶋 祥三  京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)

キーワードチンパンジー / 聴覚 / 音声 / 聴覚-視覚見本あわせ / 聴覚短期記憶 / 音声言語理解 / 音声発達 / 母子音声交換
研究概要

チンパンジーの聴覚と音声を研究した。まず、チンパンジーはグループのメンバーを音声のみで同定していることが明らかになった。音声はpant hoot(PH), pant grunt(PG), scream(Scr)のいずれでも可能だった。音響パラメータとして基本周波数の重要性が示唆された。これらは生息地での群れの個体間の社会行動の理解に使われていると思われる。また、乳幼児の音声(Scr)で固体識別が可能かを検討したが、被験体自身の子供に関しては成績がよく、識別していることが示唆された。Scrが育児に果たす役割を考えると興味深い。
音声と表情のマッチングに関しては、PHを中心に、PG, food grunt(FG),Scrで検討した。その結果、PH-PGを除く、PH-FG, PH-Scrの組み合わせでチャンスレベルよりも優位に正しくマッチングを行うことが分かった。チンパンジーは音声を聞くだけで、表情を、したがって発声者の情動状態をある程度理解できる可能性がある。
被験体はものの音は理解するが、そのものの名称(言語音)の理解は困難であった。そこで実際音と名称の中間にある擬声、擬音語を導入して、言語音の理解を検討した。しかし、安定した成績は得られず、この条件では言語音を理解していないことが判明した。
聴覚刺激の短期的な記憶に関しては、もの音とメンバーの音声で検討した。0秒遅延では90%前後の正答率だったのが、16秒遅延では約70%に低下した。また、カテゴリ内、間の問題では、0秒遅延でカテゴリ内の成績が悪かった。かれらの認知様式の手がかりになる。
チンパンジー幼児の音声発達は養育者の種には関係せず、母子間の音声交換に関しては、幼児期に発声訓練を受けた母親とその幼児の間のみでみられた。幼児の動画刺激への反応を検討したが、映像個体がカメラ(幼児)に向いて行動をしている場合は注視時間が長かった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kojima, S.: "Experimental analyses of body image in the chimpanzee("Primates. (in press).

  • [文献書誌] Kojima, S.: "Identification of vocalizers by pant hoots, pant grunts and screams in a chimpanzee"Primates. (in press).

  • [文献書誌] Kojima, S.: "A search for the origins of human speech : Auditory and vocal functions of the chimpanzee"Kyoto Univ.Academic Press. 195 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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