研究課題/領域番号 |
13410033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (00242107)
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研究分担者 |
山形 恭子 金沢大学, 法学部, 教授 (20085963)
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00188038)
高木 和子 立命館大学, 文学部, 教授 (90091834)
古池 若葉 跡見学園女子大学, 文学部, 専任講師 (40307690)
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キーワード | 表記知識 / 表記活動 / 読み書き / 描画 / 乳幼児 / 談話 / 記号操作 / 数表記 |
研究概要 |
表記知識の初期発達に関して、乳児を対象として研究を行った山形は、描画・文字・数字の流域間で異なる表記行為がみられ、それが年齢に伴って5レベルでの発達過程によって増加すること、しかしそれら三表記活動間には相関がみられることを明らかにし、描線描出能力、運動制御能力の発達が表記活動と有意な関連をもつことを明らかにした。幼児期の表記活動として立体モデル描画過程を事物-描画間の写像原理の知識の習得の観点から分析した古池・秋田は、事物の境界・輪郭を線分で描く写像原理は3歳までに獲得され続いて事物の表現を塗りこむ写像、ついで事物の面間の空間関係の写像、事物の色の写像、事物面の数の写像という発達過程の順序性を明らかにした。 また幼児のかな文字表記知識に関して、小森・高橋は直線性、多様性、分離性の3つの文字配置ルールについて文字判断に使用されるルールならびにそのルールと読み書き習得との関連を検討した。その結果成人が文字判断に利用するのは直線性と多様性であるのに対し、5,6歳は4歳児に比べ分類性ルールに注意を向けていることが明らかになった。この時期の幼児は文字を分離した形の集合として捉えていることを本結果は示している。ただしこれらの表記知識という形式的側面と実際のかな文字の読み書き能力との関連は低かった。ここからは書くことについて表記という形式的面の分析、行為実現のシステムと表現したいことを表す内容を選択するシステムの両面を分析が表記活動においては重要であることが示唆される。そこで高木は表記活動としての思いでを綴るはんこ作文の中にあらわれる複文に注目し、思いでについての表象の形成と書く頂序を検討し、6歳児幼児が気持ちの動きを表現するために接続助詞を使って述語をいくつか含む複文を産出しており、理由や経過を伴う説明を行うのに複文という形式が使用されるなど心理的構造が文章構造に表現されることを示した。また秋田は文字表記に関して、幼児がかな表記での写像原理を未習の漢字熟語にも過剰般化して使用することを明らかにした。 尚、本年度は最終年度のため、各自の研究成果をまとめると共に研究会を実施し、相互の研究の共通性やつながり、今後の課題の検討を行った。詳細は作成中の研究成果報告書に記載した。
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