阪神・淡路大震災を契機とする災害ボランティアの動向を、震災10周年に向けて、長期的かつ実践的に検討する本研究の初年度は、以下の研究を行った。 研究I 「阪神・淡路大震災当初から継続している災害ボランティア組織への参与観察」 本研究のベースとなる事例として、震災当初から行っている災害ボランティア組織((特)日本災害救援ボランティアネットワーク)への参与観察を継続し、エスノグラフィーの加筆準備を行った。 研究II 「災害ボランティア組織のネットワークの動向調査」 災害ボランティア組織の全国レベルのネットワーク(「全国災害救援ネットワーク」および「震災がつなぐ全国ネットワーク」)に加盟する主要な団体を訪問してインタビューと資料収集を行うとともに、両者が合同で実施する全国大会について検討した。 研究III 「平常時の災害ボランティア組織が行う活動調査-地域づくりという観点から」 防災を視野に入れた地域づくりの活動を調査・観察し、災害ボランティアが、コミュニティの活性化に果たす役割を、教育問題をも絡めて、理論的に検討した。 研究IV 「災害ボランティアに関する理論構築」 災害ボランティアの動機について検討することを通して、本研究の理論的基盤を固めた。続いて、資料分析によって、災害ボランティア体験に関する語りについて事例を収集し、理論的考察の糸口を掴むことができた。 なお、当初予定していたアメリカでの現地調査研究は、テロ事件の影響によって、訪問予定であった会合が延期となっており、本年度中に実施することができなかった。もちろん、電子メール等により、資料の整理は行ったが、インタビュー調査等は次年度の課題とした。 上記の成果の一部は、国内外の学会における発表はもちろん、英文を含む学術論文や分担執筆によって公開した。
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