研究分担者 |
中條 和光 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90197632)
宮谷 真人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90200188)
利島 保 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20033566)
河原 純一郎 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (30322241)
湯澤 正通 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10253238)
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研究概要 |
1.科学的知識の獲得と変容(時間,距離,速さの関係) 時間,距離,速さの関係に関する知識獲得についての研究を引き続き行い,成果を本や論文にまとめた。また知識獲得行為における時間管理能力の研究を新たに始めた。知識獲得行為を数日から数ヶ月の時間軸でみるとき,その時間軸を意識的に制御する能力の研究は,我が国では全く行われておらず,先駆的研究になるはずである。 2.科学的知識の理解(運動とエネルギー) 概念と概念形成に関する研究を展望し,科学的知識構成のプロセスに影響を及ぼす内的,または外的な要因について考察した。子どちたちは,内的資源(概念または理論,メタ認知,方略)と外的資源(道具や装置などを含む物理的環境,他の生徒や教師などを含む社会的環境)との間のダイナミックな相互作用の中で,科学的知識や科学的思考を発達させていくことが明らかとなった。 3.文章理解と作業記憶(眼球運動とリーディングスパンテスト) 大学生を対象として,眼球運動を指標として、文章理解の時間的進行に伴う注意パターンの変化を調べた。その結果、文章読解の進行に伴って作業記憶の処理資源配分が処理から保持へとシフトすることがわかった。この結果は文章を介した知識獲得の研究から予測されるものであるが、オンライン処理における実証的な資料となる。 4.言語知識と作業記憶(事象関連電位を利用した検討) 言語知識と作業記憶の関連を,ERPのMMN成分を指標として検討した.無意味語リハーサル(NR)と無関連スピーチ(IS)が,純音MMNおよび語音MMNに及ぼす影響を調べた結果,純音MMNはNRにもISにも影響されなかった。一方,語音MMNはNRには影響されなかったが,ISによって振幅が減少した。これらの結果から,語音MMNを発生させる神経機構と,音韻ストア内で利用される母語の音韻構造の知識に関わる脳過程の共通性が示された。 5.空間的知識の視・触覚転移(潜在知覚学習) 空間内に分散した複数の対象の位置を潜在的に記憶する能力を,視覚探索課題を用いて検討した.視覚的な探索によって獲得した空間の知識は,触覚的探索成績を向上させたことから,視覚的に獲得した空間知識は触覚モダリティでも利用可能であることを示唆している.
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