研究分担者 |
笠原 正洋 中村学園大学, 人間発達学部, 助教授 (10231250)
田嶌 誠一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (70163459)
丸野 俊一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30101009)
田代 勝良 西九州大学, 健康福祉学部, 助教授 (90300467)
後藤 晶子 国立肥前療養所, 情動行動障害センター臨床研究部, 研究員,医師
|
研究概要 |
15年度では,次の4点の検討した. 1.「潜在的児童虐待被害者」の実態調査.これまでに収集した潜在的児童虐待被害者の実態調査のデータ収集を完了し,最終的な分析を行った.またその結果に基づき潜在的児童虐待被害者をスクリーニングするための「多重性虐待被害経験調査票」を作成した. 2.虐待としつけの認知の調査.児童虐待の発見・防止のためには,虐待行為を多くの人が共通して「虐待」と見なすこと(虐待認知)が不可欠である.だが虐待認知は,立場や経験・知識などにより異なると予想される.この点を明らかにするために,6集団(児童相談所,精神科医,一般の親など)を対象に,虐待行為(1の尺度より)をしつけの範囲とみなすのか虐待と見なすのか,またどの程度の虐待と見なすかを比較検討した. 3.保育園で観察される潜在的被虐待児の実態調査と「被虐待児童発見のチェック・リスト」の構成.保育園に通う幼児の養育者による児童虐待の実態を調べるために,顕在的被虐待児(児童相談所で認定されている児童),潜在的被虐待児,養育困難児に分け,担当する保育士に調査を行った.その結果,潜在化した被虐待児童が多く存在することが分かった.また園児で養育者により虐待を受けている子どもをより正確に発見するために,虐待により起こる身体・心理・行動面の症状のリスト票を作成し,被虐待児童発見ののためのチェック・リストを作成し,その有効性を確認した. 4.保育士の児童虐待発見と対応に関わる不安や問題点の質的分析.保育園で親による虐待が疑われる子どもを発見した場合,保育士は通報する義務を負うが,実際にはそれを実行することができない.その原因を質問紙調査を行い,回答を質的に分析した. 本年度は最終年度であるので,3年間の研究成果をまとめ,現在,最終の研究業績報告書を作成中である.また論文投稿に関しては,現在2本が投稿中で,5本が投稿準備中である.
|