研究概要 |
今年度は、前年度の準備的研究を基礎にして、(1)航空機遺族に対するアンケート調査と(2)面接調査、(3)死別に関する無作為抽出調査を実施した。(1)に関しては、中華航空機事故遺族約300名に調査用紙を郵送、78名から回答を得た。現在、入力が終了し、分析中である。(2)に関して、アンケート調査の回答者のうち10名が面接調査に同意、そのうち、辞退した2名を除いた8名に、それぞれの居住地近くで面接調査を実施した。これによって死別後9年間の遺族の状況に関して有用な情報を得た。(3)に関しては、首都圏30km内在住の男女2,000人(20〜69才)を2段無作為抽出し郵送法による調査を実施した。まず事前依頼状(葉書)を送付し、その1週間後に調査票を発送(2002年9月初旬)、未回答者には締切後に督促状を2度送付し(うち1回は調査票を同封)協力を求めた。その結果、最終的に856名から回答が得られた(回収率42.8%)。このうち、年齢未記入者18名と自らの年齢を19歳以下あるいは70歳以上と回答した3名を除く835名(男性341名、女性494名)を分析対象とした。全体的にみると、男性より女性のほうが回答者が多く(男性40.8%、女性59.2%)、年齢的には男女いずれも20歳代・30歳代で回答者数がやや少なかった。死別経験者の割合は、死別からの経過期間を11年未満(131ヶ月以内)とした場合、男性77%、女性78%であった。また、これらの中で3年未満(35ヶ月)での死別経験者は43.4%(回答者全体の30.7%)であり、死別という事象がかなり「一般的」であることを示していた。現在、その他のデータに関して、基礎的な統計分析を行っている。来年度にかけて、さらに詳細な分析を行う予定である。
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