研究課題/領域番号 |
13410045
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
樽川 典子 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (00141218)
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研究分担者 |
柏谷 至 青森大学, 社会学部, 講師 (50316329)
樫田 美雄 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (10282295)
副田 義也 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (70086320)
遠藤 恵子 城西国際大学, 国際文化教育センター, 研究員 (40327250)
加藤 朋江 城西国際大学, 人文学部, 講師 (90296369)
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キーワード | 地方自治 / 自治省 / 自治官僚 / 住民組織 / 地方分権 / 歴史社会学 / 社会変動 |
研究概要 |
1.究代表者1名、研究分担者5名、研究協力者4名によって、月例および合宿形式による研究会、資料収集と分析をおこない、自治省と戦後日本の行政課題にかんする主要な7つのトピックスをとりあげて研究した。それらは、(1)「自治の空間」の変容、(2)地方制度調査会答申と地方分権化、(3)「住民」の地位・認定・把握技術、(4)非特定営利活動促進法の制定過程と自治省、(5)政教分離訴訟と地方自治体、(6)まちづくりの計画と参加、(7)男女共同参画条例の策定における価値葛藤、である。 2.7つのトピックスのうち(1)〜(4)では、自治省に焦点があてられる。これら3つを定点として設定して観察すると、(1)産業化、(2)その後の脱産業化、あるいは福祉国家の展開など変動する日本社会の要請をうけながら、自治省が団体自治、住民自治を構想し制度の改正をくりかえしてきたことがわかる。基本的には明治地方自治制度を継承した戦後の地方行政・財政は、平準化や公平性を志向しており、産業化にもっとも適合的なシステムであった。1990年半ば以降、新しい行政区画制度、地域計画の策定と住民の参加などの制度的な変化をともなう分権化は、不均衡な権限委譲への転換であり、差異化と多様化の方向性をもつにいたった。 トピックスの(5)〜(7)では、地方行政の具体的な事例をとりあげながら、上記でのべた制度的な変化を背景として、団体自治と住民自治の構成、意味の変容を検討した。多様性や差異性の制度的な是認のもとでは、住民の統合と地域の独自性を創出が要請される。地域計画は、策定作業それ自体が住民の主体的な参加の自覚を促す点でこの要請に応えて、ときに葛藤しあう緒価値が「自治の空間」を支えている。
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