研究課題
基盤研究(B)
本研究は、戦後日本の社会変動と行政課題の変化を背景として自治省を歴史社会学的に分析することを目的とした。それによって得られた主な知見3点は以下のとおりである。(1)自治省は、地域開発、国土総合開発、福祉国家の展開という戦後日本の行政課題に対応して地方制度改革をくり返してきたが、明治地方自治制度を継承する地方行政・財政システムは経済成長期においてもっとも適合的であった。(2)1990年代半ば以降、地方行政・財政システムの転換を余儀なくされるが、そこには地方官僚の世代交代、福祉国家の展開とともに生じた地方行政の質的変化、自治官僚の影響力の相対的な低下などの要因が作用した。(3)上記の過程で、自治省と大蔵省、農林水産省、建設省は競合し対抗的な関係であった。前2者との競合・対抗関係は明治地方制度の確立期に、後者との関係は内務省時代の省内力学に起源がある。
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