研究課題/領域番号 |
13410048
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蘭 信三 京都大学, 留学生センター, 助教授 (30159503)
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研究分担者 |
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
山本 かほり 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (30295571)
高野 和良 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20275431)
大久保 明男 東京都立短期大学, 文化国際学科, 専任講師 (10341942)
蘭 由岐子 賢明女子学院短期大学, 生活学科, 助教授 (50268827)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 中国帰国者 / 満州移民 / 共生 / 中国帰国生徒特別枠入試 / アファーマティブ・アクション / 中国定着の日系中国人 / 満州開拓文学 |
研究概要 |
本研究の目的は、中国帰国者の日本社会における適応と共生に関する総合的研究であるが、長野県飯田市における調査、首都圏・関西調査、そして中国帰国生徒特別枠入試に関する調査を行った。まず、(1)長野調査では、飯田下伊那地方での中国帰国者の受け入れは80年代と90年代において状況が異なることが明らかになった。80年代は、帰国者は満洲開拓団関係者によって受け入れられ、直に地域社会で生きてうまく適応していった。しかし、90年代以降の帰国者は、前期の帰国者というクッションによって直に日本社会に触れることも少なく、帰国者コミュニティの存在によって日本社会への適応は進むが逆に地域社会への適応は進まないという逆説的な状況にあった。さらに、この地域では、日系ブラジル人、フィリッピン人、そして中国からの農村花嫁がおり、その外国籍市民の存在が独特の状況を生み出していることが明らかになった。つぎに、(2)関西調査では中国帰国者身元引受人会と帰国者本人への調査を進めているが、主として帰国者の地域社会における適応に関する調査を継続した。とりわけ集住地域である堺市における地域コミュニティと帰国者コミュニティの共生に関する調査を行ったが、その結果、堺市の中国帰国者の集住地域では様々な問題が生じており、ホスト社会との「認識の衝突」が多く問題となりつつあることが明らかになった。また、(3)中国帰国生徒特別枠入試制度に関しては、本科研費グループによって昨年9月に緊急シンポジウムを開催し、その意義と課題について集中的に論じた。特別枠入試によって中国帰国生徒の高校進学や大学進学が促進されたことは確かで、本人・家族はもとより、帰国者コミュニティにも大きな貢献をもたらした。しかし、この制度は、文部当局によって全国的に実施されたのではなく、個別の自治体や大学の判断によって行われ、地域によって大きな差があり、不公平であることが判明した。
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