研究課題/領域番号 |
13410050
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
北川 慶子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00128977)
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研究分担者 |
井上 伸一 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (80260727)
斉場 三十四 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (30264170)
田中 豊治 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (60183464)
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キーワード | 在宅介護 / 介護とQOL / 介護環境と介護不安・ストレス / ジェンダー介護 / 介護者の健康度とFIM / 生活の量と質 |
研究概要 |
平成14年度における本研究は、「介護環境の評価と日常生活に関する調査」をもとに、介護の主要な要素である「もの」、「ひと」を中心とする介護とQOLを研究の中心とした。「もの」は在宅介護環境としての住居や設備などの居住環境、「ひと」は介護者、要介護者の両側面から「介護の質」と「生活の質」を分析研究した。特に「介護の質」を論じる場合は、要介護者の生活の質あるいは生命の質、それに伴う介護者の負担、介護ストレスなどが問われることが多い。さらに在宅介護の介護者の負担は、いかなる居住環境であるか、社会的介護など資源の取り込み方と利用度のバランスがその負担度を規定する。佐賀県という高齢化率がすでに20%を超えている少子高齢・小人口過疎地方で、わが国が今後向かおうとする典型的な「地方における老老在宅介護」の実態を捉え、介護環境の評価基準を考えると、その要素としては、(1)要介護者の身体的QOLと介護者の健康度、(2)地域社会とのつながり、(3)日常生活(不安・ストレス)のあり方、(4)住環境、(5)福祉サービス、(6)介護行動であり、そのバランスの主観的評価である。特に介護者の生活の質が介護に影響を及ぼす。本研究により介護環境とQOLは、介護者が高齢期をすでに迎えている場合は、高齢期の生活に介護という要素が加わることによって介護者の健康度と日常生活の質が低下するという実態が浮き彫りにされた。その日常生活には、きわめてジェンダー色の強さが影響しており、女性は介護という要素が高齢期の生活に介入しても若年期から育児・家事を担い地域との交流も行ってきているために、それが継続されるという傾向が見られ、一方、家事にかかわりを持ってこなかった男性は、介護の要素が加わると、介護中心の生活になり、自分自身の生活ができにくくなり、したがって生活の質の低下を招くというこれまでに明らかにされていなかった側面が、本研究により成果として明確になった。
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