研究課題/領域番号 |
13410051
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
城 達也 熊本大学, 文学部, 助教授 (70271608)
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研究分担者 |
永谷 健 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50273305)
金子 雅彦 防衛医科大学校, 医学教育部, 助教授
小川 伸彦 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (10242992)
大川 清丈 甲子園大学, 人間文化学部, 講師 (80299057)
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キーワード | 社会規範 / 社会統制 / 比較社会 / 比較文化 / 歴史社会学 / 文化社会学 / 社会意識 / 身体論 |
研究概要 |
まず、理想的人格イメージをその構成要素に分けた場合、行動様式や役割遂行に対してのみならず、外見的な容姿や身体性、さらには内的な性格などから成り立つ。また、特定の個人のみならず、集合的なカテゴリー全体に付与される人格イメージも存在する。このような「人格イメージ」の多様性は、日本と欧米のそれぞれのケーススタディにおいて、さまざまなかたちで現れていることが分かった。 次に、「人格像」の現実化においても多様性があり、a、理想像にあわせたかたちでその該当者が言及される場合(「近代日本のガンバリズム」「近代イギリスの専門医」などの場合など)、b、ある人物の登場が「理想像」の規範そのものを覚醒し成立に至らしめる場合(「近代ドイツの男性像」など)、c、理想像の枠組みを決めるべくしてその保持者が捜し当てられる場合(「近代日本の企業家」など)がある。とくにcの過程は興味深く、これを「キャラクター付与」や「体現化の論理」と名付ける。 他方でひとたび形成された理想的人格規範が、その体現者の乱行により崩れていく過程があることも分かった。これは秩序の揺らぎであるが、の揺らぎに対して、「揺り戻し」の過程も存在する。また逆に、体現者の乱行じたいが社会的に期待される場合もあり、この場合は社会的変革への意識とも関係している。 さらに「人格化」されること自体は、権力の形成過程とも結びついている。このことは、「人格化」が「神格化」まで発展した際には顕著である(たとえば近代日本の「死者」像)。このことは、理想化されやすい個人や集団と、そうでないものとの差に関係する。この差は、それらが当該社会のなかで担っている機能と関係しており、つまりは権力構造と密接なつながりがあることがわかった。このほか、人格像がカテゴライズされる形式も、当該社会の秩序形成と関係していることが明らかにできた。 なお上記成果は、本年度の「中間報告書1」としてまとめている。
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