研究課題/領域番号 |
13410051
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
城 達也 大阪経済大学, 人間科学部, 助教授 (70271608)
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研究分担者 |
永谷 健 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50273305)
金子 雅彦 防衛医科大学校, 医学教育部, 助教授
小川 伸彦 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (10242992)
大川 清丈 甲子園大学, 人間文化学部, 講師 (80299057)
佐藤 哲彦 熊本大学, 文学部, 助教授 (20295116)
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キーワード | 人格イメージ / 比較社会学 / 歴史社会学 / 社会規範 / 専門家 / エリート / 逸脱 / 社会統制 |
研究概要 |
近現代の日本ならびに西欧の理想的人格像に関して、比較社会論的な観点から、理論的かつ実証的に解明した。その成果は、毎年度ごと、合計3冊の研究報告書にまとめられた。本年度は最終の研究成果報告書を発行した。そのなかで一方では、日本における実業家の人格イメージ、ノーベル賞受賞者のイメージ、近代日本人イメージ、韓国社会における教師イメージ、イギリスにおける医師のイメージ、ドイツにおける近代人のイメージ、ナチスにおける理想的人格像などを実証的に分析した。他方では、そこから理論的に、それら人格像の産出プロセスが社会秩序の形成と密接に結びついていることを明らかにした。 とくに近代日本人のイメージに関する研究では、中根千枝の議論の批判的検討から、能力平等観のゆえに、日本人は「頑張りズム」を備えた人格が理想のイメージであったことが明らかにされている。また韓国の教師イメージでは、一方で寸志を強要するイメージと、他方であらゆる贈り物を拒否する教師イメージがあり、その両極の範囲でうまく振る舞える教師が理想とされた。近代ドイツ人の研究では、自伝の分析から、個人主義的生き方が理想であったことが明らかにされた。イギリスの医師研究では、サッチャー政権以来、医師という職業への威信が低下してきていることが明らかにされた。実業家研究で、明治の資産家のプライバシーがますます大衆の関心をもたらすさまが明らかにされたり、ノーベル賞受賞者研究で、すでに社会にある価値観がその人格に付与されていく過程が示されたように、メディアの役割により、個人的人格が社会規範とつながっていることが明らかにされた。この点に関しては、ナチス研究においても、彫刻や絵画というシンボリックな視覚表現が社会秩序に大きな役割を与えていることが明らかにされた。
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