国外研究としては、スエーデン・デンマーク・オランダの環境政策や都市計画についての研究および韓国における環境保全型農業の推進について、前韓国農林大臣金成勲氏とのインタビューや合鴨野家との交流会を軸に進めた。韓国は、日本よりも環境保全型農業については後発でありながら、金氏等の攻府の政策展開によって国全体としては、日本よりも進んだ環境保全型農業が行われている。「身士不二」「農都不二」の標語か全国的に展開されている。 国内研究としては、全国各地の活発な環境担い手活動の調査研究を引き続き行った。重点調査としては、宮崎県えびの市において、中山間地域3集落において、1)集落点検調査、2)農家世帯調査、3)個別住民生活および意識調査の3種類の調査を実旋した。知見としては、農村全般にわたって世帯の極小化が一段と進み、独居世帯、高齢夫婦世帯、中高齢者小世帯などの極小世帯が集落の65%を超える所も多く、住民の生活福祉能力は極端に低下してきている。集落の中には「再生不能世帯」が50%を占める集落も出始めた。また、熊本県小国町、島根県赤来町では小字レベルの「集落点検」を実施し、世帯における他出者の動向と意識に焦点を当てた研究や課題が、今後の中山間地域の地域政策にとって非常に重要であることが判明した。 また、.引き続き熊本県水俣市久木野地区の寒川の棚田維持に関する農業土木系アプローチ、社会学系アプローチ、地域おこし系アプローチの総合検討調査を行ってきた。成果の一部は、本年6月の環境社会学会で報告できるであろう。最後に、ここ最近、日本の農山村は市町村合併で灰神楽が立つほど浮き足だっており、様々な地域課題を足腰を据えて解決していける状況ではない。合併問題の負の影響がすでに出ている。
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