本年度は、秋田県八郎湖の『八郎湖プラッフォーム』事業を中心に滋賀県近江八幡市の大中湖などの大型干拓地における農業経営と干拓湖の汚染などの関連を調査した。大型農業の農業排水にともなう湖水汚染は、単に自然環境問題にとどまらず、周辺地域社会(自治体)との社会的葛藤や対立を引き起し、地域の統一や発展の障害になる場合も多いことを解明した。 次に、農業・農村の担い手減少に対するものとして、近年農業法人の役割が、注目されているが、本研究では早くより、山口県阿東町の「船方総合農場」福岡県大木町「きの子の里」さらに、福岡県岡垣町の「ぶどうの樹」などの地域社会連携型の農業法人に注目してきた。単に、農業経営の高度化や収益の増加を目ざすだけでなく、地域社会の担い手を含めた農山村社会の再構築プランを持ち、事業的に展開していくシステムを共通に保有していることを発見した。また、この農業法人の組織原理の中から、現代の農業者のリーダー像を明確に抽出するできた。農業者リーダーの四類型である。特に大木町の「きのこの里」のリーダーが中心になって大木町という筑後平野の農村地帯を『環境循環農村社会』に創り変えるプロジェクトを、し尿と生ゴミのバイオマスプラントと有機農業を結合させることによって、具体化している。筆者も、積極的に参加し、実践型研究を続けてきた。
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