研究課題
今年度は、合計3回の研究会を学習院大学において開催した。3回の研究会での報告内容は、次の通りである。(1)"Escape from Free-riders"、(2)「倫理的判断の不偏性」、(3)「ロマンティック・ラブの日本的受容〜『主婦の友』に見る「愛」と「恋愛」の変遷〜」、(4)「社会移動表における非対角セルの分析」、(5)「社会運動への動員における紐帯の効果」、(6)「メディアと「信頼」」。このうち、(2)、(5)は、数理モデルによる社会現象分析の報告であった。特に分析においては進化ゲーム理論に注目し、実証的研究への応用を試みた。(1)、(4)は、数理モデルの実験・計量への適用に関する報告であった。その結果、従来の研究の不備が新しいモデルおよび分析手法によって補われうる可能性を確認した。(3)、(5)は、社会システム論をもちいた日本社会分析に関する報告であった。抽象的で純理論的と考えられがちな社会システム論が、実証的研究にどのように適用されうるか、その可能性を検討した。このように、今年度は理論と実証を結びつけるものとしての数理的・計量的アプローチの可能性について検討し、議論した。また本年度は、プロジェクトの最終年度として研究成果報告書の作成に傾注した。報告書は、プロジェクト期間中に参加者が相互議論した報告を論文を収録し、計13本、約280ページの報告書になった。全体として、理論と実証を架橋するものとしての数理的・計量的アプローチの役割が重視された。
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