研究課題/領域番号 |
13410055
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
芳賀 学 上智大学, 文学部, 助教授 (40222210)
|
研究分担者 |
佐藤 郁哉 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00187171)
山田 真茂留 早稲田大学, 文学部, 教授 (20242084)
富山 英彦 東京情報大学, 総合情報学部, 専任講師 (10364960)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2004
|
キーワード | 学術出版 / 出版業界 / 学術界 / 新制度派組織理論 / 組織アイデンティティ論 / 複合ポートフォリオ戦略 / 役割アイデンティティ / 制度固有のロジック |
研究概要 |
我々は、平成13年度以来4年間にわたって数社の出版社を対象にした事例研究をおこなってきた。その結果、出版界と学術界の制度的関連構造に関する最終的な分析フレームを構築することが出来ただけなく、出版社が知のゲートキーパーとして果たす役割について幾つかの新たな知見を得ることが出来た。 以下の4点が4年間にわたる総合的な研究実績としてあげられる。 1.出版社の抱える本質的ディレンマ.出版社は、「クラフト性対官僚制組織」「営利性対文化的ミッション」という2つのタイプのディレンマを抱える組織であることが確認された。 2.組織アイデンティティに見られる対立構造.上記の2対のディレンマは、クラフト、官僚制組織、営利企業体、文化事業体という4種類の組織アイデンティティの間の相互関係として概念化できる。 3.組織アイデンティティと制度固有のロジック.組織アイデンティティ間の対立は、かなりの部分、それぞれの集合的アイデンティティの背景となっている制度固有のロジックを反映するものである。その一方で、知のゲートキーパー的役割を担う出版社とその成員は、学術界という環境のある部分を自ら組織化しているという意味では、個人、組織、制度の間には相互構築的プロセスが存在すると考えられる。 4.複合的組織アイデンティティと刊行意思決定.4種類の組織アイデンティティは、全体として「組織アイデンティティ・プロフィール」を構成していると考えることが出来る。出版社におけるこの集合体としての自己理解と書籍刊行をめぐる意思決定プロセス(とりわけ出版社が刊行ラインナップの概要を決定する上で採用する「複合ポートフォリオ戦略」)との間にはきわめて密接な関連がある。今後学術コミュニケーションの変容を探っていく上では、この点が非常に重要なポイントになると思われる。
|