研究課題/領域番号 |
13410060
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
安江 孝司 法政大学, 第一教養部, 教授 (40061197)
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研究分担者 |
屋嘉 宗彦 法政大学, 第一教養部, 教授 (00105842)
飯田 泰三 法政大学, 法学部, 教授 (00061218)
吉成 直樹 法政大学, 沖縄文化研究所, 教授 (80158485)
細田 亜津子 長崎国際大学, 人間社会学部, 助教授 (50331046)
中俣 均 法政大学, 文学部, 教授 (60135895)
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キーワード | 琉球列島 / 島嶼間ネットワーク / インドネシア / ネットワーク形成モデル |
研究概要 |
当初の課題設定にしたがって、1.歴史的課題、2.現代的課題の分類にしたがって記述する。 1.歴史的課題 本年度は、奄美諸島と沖縄諸島間、および南部琉球と南方島嶼(とくにインドネシア)間の文化的、社会的ネットワークの復元に関する野外調査、分析を中心に行った。南方島嶼を視野に入れたのは、史資料の分析の結果、南部琉球の文化的、社会的ネットワークは、琉球王国形成後も実質的に北部琉球よりも南方島嶼との繋がりが強かったと推定されたことによる。奄美諸島と沖縄諸島間の文化的、社会的ネットワークについて言えば、琉球王国の成立過程に奄美諸島西部地域がきわめて重要な役割を果たしており、その結果、17世紀初頭の島津侵攻後、両諸島間は政治的に分断されたにもかかわらず、両諸島間でネットワークが維持され続けてきたとの結論を得た。また、南方島嶼と南部琉球の間には、葬制、宗教観念、染織技術、慣習的な制度などの点で、当初の予想をはるかに上回る類似を見出すにいたった。また、インドネシア・スラウェシ島においての調査の重要な目的のひとつは、琉球列島の島嶼間ネットワークを考察するうえでのモデル、すなわち生態的条件、生業などが異なる土地で暮らす住民相互の間で、いかなる経済・杜会・文化的ネットワークが形成されるのかという比較モデルの構築である。これは、現代的課題にもかかわるものであり、この作業は今後も継続的に検討してゆく予定である。 2.現代的課題 ここでは、奄美・沖縄諸島を中心とする経済圏の実態把握、沖縄諸島および宮古諸島において架橋化が果たす生活変容の問題、奄美諸島島嶼間の言語変化の問題について調査、検討した。とくに、言語の問題では、野外調査および文献資料から検討した結果、奄美諸島においては、語彙、音韻の上ではヤマト言葉的な現象が起きているが、そのなかにあって沖縄諸島にきわめて近い集落があることを確認するにいたった。これは、歴史的な奄美諸島と沖縄諸島との間のネットワークのあり方にも重なるものとの見通しを得た。
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