研究概要 |
いわゆるニューカマー外国人児童・生徒の不就学の実態を把握するため,愛知県豊橋市,豊田市,神奈川県相模原市を訪れ,聞き取り調査を行った。その結果,外国人登録を行った義務教育学齢期の子どもの実数と就学者の数との間には,小学校段階で10〜15%,中学校段階で30〜45%というかなりの乖離があることが判明した。この点が本年度の第一の成果である。 次に,こうした'不就学'がどのような要因によるのかを推定するため,神奈川県下で外国人児童・生徒の指導に携わっている教員,学習室主宰者、ボランティア、指導主事など計12名に詳細なインタービューを行い、一定の知見を得ることができた。それによれば(1)漢字学習の困難,(2)学校,教師の態度('お荷物'視),(3)家族のケアの不足(長時間就労ゆえの子どもの放任),(4)「帰国」を口にする親の態度の影響、(5)ブラジル人学校等の存在、等が直接、間接の要因として大きいとされる。 さらに,広く研究者の意見を聞くために,平成14年3月にワークショップを開催し,教育の現場で指導に当たっている人々の考察をうかがうことができた。そこで共通に指摘されたことは,外国人児童・生徒をとりまく社会関係の問題点である(いじめ、親とのコミュニケーションの困難,疎外,孤立,居場所のなさ)。これによって、今後の課題がかなり鮮明になってきたので,引き続き各地方自治体における不就学の実態を調べつつ、平成14年度の研究では,保護者(親)とのインタビューを組織的に行いたいと考えている。
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