研究課題/領域番号 |
13410064
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
宮島 喬 立教大学, 社会学部, 教授 (60011300)
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研究分担者 |
イシカワ エウニセ 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 助教授 (60331170)
佐久間 孝正 立教大学, 社会学部, 教授 (80004117)
太田 晴雄 帝塚山大学, 人文科学部, 教授 (10185275)
田房 由起子 立教大学, 社会学部, 助手 (20350291)
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 商学部, 講師 (80363795)
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キーワード | 外国人 / 不就学 / 出稼ぎ的滞在 / 漢字のカベ / いじめ |
研究概要 |
本年度は、外国人児童生徒の学校経験とその生活世界に関する面接調査を行うと共に、3ヵ年の研究をとりまとめ、報告書の作成をおこなった。 児童.生徒への面接は、愛知県、三重県を中心に約10名ほどのブラジル人、ペルー人にたいして行い、1)その生活史、2)日本の学校の経験(通学中断も含めて)、3)学習の困難だった点、4)教師との関係、5)友人との関係、6)親や地域の学習サポートの有無、を主な質問項目とした。自分のつらい困難であった過去の経験を語る行為であるため、面接は容易ではなかったが、一応彼らのなまの声を聞くことができたことは、成果であったといえる。 その結果として、次の3点を確認しえた。第一に、来日がかなり「偶然」の出来事と感じられており、来日という環境の変化に納得していない子どもがみられた。そのため学習に十分に身が入らない様子がうかがえた。第二に、日本語、漢字の世界にカベを感じている点は、子どもたちに共通であり、このカベを乗り越えさせる十分な教育体制が学校側にもなかったようである。第三に、両親が出稼ぎ特有の長時間労働に従事し、子どもとのコミュニケーションの時間が欠けていることが共通に指摘された。これが子どもたちの孤立を招き、精神的に悪影響を与えている。なお、一人のブラジル人元生徒(現在20代)は、90年代の初めに学校中のただ一人の外国人として就学し、日本人児童から非常に執拗ないじめを受け、退学に追い込まれた事情を語った。これは、初期の日本の学校の対応の重大な欠陥を物語るものである。 3年度の研究のまとめに入り、外国人児童生徒の不就学の要因を整理し、報告書の作成に着手した。
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