研究課題
本年度は主に三つの分野で活動を行った。第一は第一年度目から行ってきた大学に関する情報源の収集とその整理である。IAU(国際大学協会)などの国際機関、各国の政府機関が発行する大学一覧、商業的に発行されている大学一覧・データベース、大学自身の作成するホームページ、そしていわゆる大学ランキング、などについて批判的に見当を加えた。またいわゆる大学ランキング類については、どのような方法を用いているのかについて分析した。これについては報告書を編集し、発表する準備を行った。第二に上記の情報源から、」(1)大学の基本的な組織形態、教員・学生数などの形態的特質、(2)設置形態、ガバナンス、(3)収入・支出構造などの財政構造、(4)教育組織、教育課程、入学者の選抜、(5)研究上のアウトプット、(6)卒業生の雇用、(7)社会とのインタフェース、(8)社会からの大学に対する評価、などの点について入手できる指標を収集し、それぞれの比較可能性を検討した。教員数、学生数といった基本的な指標についても、情報源によってきわめて多様なものが提供されていることがわかった。これについてはさらに作業を進める予定である。第三に、オックスフォード大学、シェフィールド大学と東京大学について、上記の点について詳細な比較をおこなった。その結果、a)学生数などでは大きな相違はないものの、組織については大きな相違があり、東大が十一の附置研究所をもち、さらに附属病院を大学の一部局としてもつことなどによって、複雑な組織であること、b)ガバナンスについては、オックスフォードとシェフィールドの間にも大きな違いがあって、前者が参加的が意思決定の点で東大との共通点が多いこと、c)財政構造の上ではオックスフォード、シェフィールドが財源の多様性が高いこと、などが明らかとなった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (5件)